Center for the Promotion of Global Education

グローバル教育推進センター交換留学マンスリーレポート

トゥール大学
2025年6月号 法学部 A.R

①この留学を振り返って

この留学を振り返ると、まず「あっという間だった」というのが正直な気持ちです。最初は文化の違いに戸惑うことも多く、日本とフランスの当たり前の違いに驚く場面もありました。しかし約10か月の生活の中で、朝はパン屋に立ち寄るのが習慣になったり、挨拶やちょっとしたお礼を自然に口にできるようになったりと、気づけばフランスの生活に馴染んでいました。

フランスを選んだ理由は、多様性に富んでいて自由な発想を尊重する国だと感じていたからです。EUの中心として多くの国の人と交流できること、そしてトゥール大学が留学生を積極的に受け入れ、英語の授業も多く提供している点も大きな魅力でした。

学業面では、日本での専攻に関連する国際法や安全保障の授業を履修できました。フランスの授業は概念を学んだ直後にケーススタディを行い、隣の学生と意見を交わすなど実践的な形式も多く、新鮮でした。学生は自分の意見をしっかり持ち、授業中も積極的に発言したり教授に質問したりする姿は私にとって良いお手本になりました。さらに週末のデモでは、若者が中心となりプライドパレードやパレスチナ問題について堂々と声を上げる姿も目にしました。自分の主張をためらわず発信する姿勢は、印象に残っています。

大学にも街にも様々な人種やバックグラウンドを持つ人が集まっていました。アフリカから来ている正規留学生もその一例ですが、多様な国籍や人種の人が生活していました。それは特別な光景ではなく、次第に「当たり前のこと」として感じられるようになりました。移民受け入れ是非の議論が日本でも話題になっていますが、少なくとも私が生活したトゥールではフランス人と外国人が共生しているように見えました。

生活面では、大学や寮、スーパー、駅が徒歩圏内にあり、とても便利でした。旧市街の石造りの建物と近代的なトラムが調和する街並みは歩くだけで楽しく、リヨンやボルドー、ナントといった他都市でも住みやすい街づくりがされていると感じました。伝統的な街並みを有効活用している点は、日本にとっても参考になる部分だと思います。

語学については、毎日英語の授業を受け続けたことでリスニング力が鍛えられ、理解できる範囲が広がったのは自信になりました。一方でアウトプット力が不足しているなと感じることもあり、出国前にもう少しレベルを上げられていたらなという反省はあります。

こうしてフランスで授業・生活・語学、そして社会や文化の違いを体感できたことは貴重ですし、トゥール大学への留学ができてよかったと感じます。

②留学経験をどう活かすか

フランスでの留学経験を、これからの人生や将来の仕事の中で自分なりに活かしていけたらと思っています。将来やりたいことはありますが、留学で得た具体的なスキルというより、多角的な視野や柔軟な考え方、自分のペースを大切にする姿勢を活かしたいです。

フランスでは、自国の文化に誇りを持ち、その国を心から大切にしている人が多くいました。私も外から日本を見る中で、日本の良さに気づくことが増え、日本のことが以前より好きになりました。今後、海外とつながるような仕事ができたらいいなという気持ちもありますが、日本に少しでも貢献できる人になりたいという思いもあります。留学中にフランスの文化や地方の特色、バゲットの種類や美味しい店の違いまで詳しくなったように、日本についても同じように知っていきたいと感じています。

フランスでは、親切に声をかけてもらったり助けてもらうことが多くありました。あるフランス人の友人が「フランス人は英語が得意ではないけれど、君に英語で話しているなら、それはかなり頑張っている証拠。だから君も日本に帰ったら、日本語が話せなくて困っている人を見かけたとき、ぜひ助けてあげてほしい」と話してくれました。京都に住んでいて訪日外国人も増えているので、同じように私もできることがあれば行動したいなと思います。

生活面では、日本では遅刻はよくないこととされますが、フランスでは友達との待ち合わせや講義への多少の遅刻は自然で、自分のペースを大切にする雰囲気がありました。無理をしすぎないこと、そしてバカンス中はしっかり休み、通常に戻れば集中して頑張るというメリハリのある生活は、今後の参考にしたいです。すべてを取り入れるのは難しいですが、柔軟な発想や視点、自分に合ったペースを意識して過ごしていきたいです。

語学面では、英語のリスニングや読解をさらに伸ばしつつ、課題のアウトプットもより良くしていきたいと思っています。現実的な目標というより日々の習慣として、これからもフランス語の学習は続けていくつもりです。今も友人と簡単なフランス語でやりとりを続けています。フランス語は英語のように点数で測るというより、日本語のように自然に身につけていけたらと考えています。ストレスなく会話ができるようになれば、またいつか今回のようにフランスで長期的に生活できたらと考えています。

そして最後に、友人が言っていた「フランスでは、どこに行ったかではなく、誰とどんな時間を過ごしたかが大事なんだよ」という言葉が特に印象に残っています。この交換留学では、うまくいかなかったことや反省もありましたが、フランスに適応し、親切な方々のサポートを受け、好きなことを話せたり、旅行もできる友人に出会うなどたくさんの良い出会いがありました。こうした環境と出会いに感謝しながら、この経験をこれからの人生やキャリアに活かしていきたいと思います。