『9月になると・・・』
9月になると新しい日本人の留学生が静岡大学と早稲田大学からやってきます。以前のマンスリーレポートにも記載した気がしますが、龍谷大学生の留学期間(2月-翌年1月)と静岡大学・早稲田大学生の留学期間(9月-翌年6月)には期間のずれがあるため、入れ替わりで新しく来た学生にスロバキアのことについて教えてあげるというのがちょっとした伝統のようなものになっています。毎年静岡大学から4人程度、早稲田大学から2人程度が留学生として来ており、基本は学生寮で生活することになるので一緒の寮に住んでいる日本人として必然的に仲良くなります。
スロバキアに留学を考えているのであれば、事前にコメンスキ―大学へ留学中の龍大生へ連絡を取り、静岡大学と早稲田大学からの留学生の連絡先を聞いておいたほうがいいでしょう。実際の現地での生活や日本から持ってきたほうが良かったもの、その他ビザに関する相談などものってくれると思います。
静岡大学と早稲田大学からの留学生の連絡先を聞くには、留学中の龍学生に連絡を取りたいと留学サポーターデスクまで申し出ましょう。(2017年)現在であればグローバル推進センター事務部が対応してくれるはずです。
9月はスロバキア(ヨーロッパ)での前期セメスター開始の時期なので日本人留学生のほかにもスペイン、イタリア、フランス、ロシア、スウェーデン、トルコ、中国、ベトナムなどから多くの留学生がやってきます。日本人の留学生にブラチスラバのオールドタウンを案内してあげる際には、日本以外から新しくきた留学生も誘ってみてもいいでしょう。僕が今年の1月にここに来た際には静岡大学の学生が、学校に行くためにどのバスに乗ればいいのか、スーパーがどこにあるのか、寮内の設備の使い方などを教えてくれました。新しく来た留学生にいろいろと教えてあげるという伝統はいい文化なのでこれからも続けていってほしいものです。
それから9月になると段々と気温が下がってきます。来月のMRでスロバキアの10月の気温と天候について書こうと思っていますが、9月現在からじわじわ寒くなってきているかなといった印象を受けます。こちらでは雨はそんなに多くはないのですが、雨だからと言ってコンビニで傘が手軽に買えるような国ではありません。アウパルクやエウロベアといったショッピングセンターに行けば傘を購入できますが、余裕があれば日本から折り畳み傘を一本持ってきておくといいでしょう。
『スロバキアの周辺国情勢』
スロバキアの周辺国情勢として一つおさえていてほしいのは「ポーランド情勢」です。ポーランドはちょうどスロバキアの真上に隣接するお隣さん国ですが、実はこのポーランドちょっと問題を抱えています。
そもそもポーランドはスロバキアと同様に、共産主義から民主主義に移行した国でしたが、近年になってその民主主義に陰りが見え始めています。始まりは2015年の10月に保守政党「法と正義」(PiS)が政権を獲得したことにあります。政府は権限を強める独裁的な法律を相次いで成立させ、憲法裁判所の決定に必要な判事の同意を過半数から3分の2以上の合意に引き上げたため、事実上三権分立に政府が干渉しているという状況が起きています。
似たような現象は同じくスロバキアの周辺国あるハンガリーでも見られます。1998年から2002年まで首相を務め、2010年の5月から再度首相に就任したハンガリーのオルバーン首相は2017年2月28日のハンガリーのブダペストで開かれたビジネスカンファレンスの演説で「あまり(難民が)混ざりすぎるといろいろな問題が生まれる」と発言しています。あくまで経済的な成功の鍵が「民族的同質性」であるという部分を強調するための発言であったとも取れますが、たびたび基本的人権を無視しているのではと疑問視されているのが現状です。
このEU内での反EU、一部民主主義からの脱却の動くの核心的な部分にはやはり難民問題があります。現状を維持するためにはさらなる規制が必要だとする保守的な政党が、国民の支持を集めることでかえって独裁色が強まっているように思えます。大きな物事を決定してしまうために”独裁”は時に大きな意味と力を持ちますが、そのことは同時に自由の制限に結び付いているというのは現状を踏まえしっかりと考察する必要があるでしょう。