Center for the Promotion of Global Education

グローバル教育推進センター交換留学マンスリーレポート

バレンシア大学
2012年10月号 文学部 H.Y

・授業紹介

  私はバレンシア大学のfilologia学部に所属しておりまして、これを直訳すると文献学、しかし内容は限りなく言語学に近いものとなっています。正直な話、この直訳に騙されて学部選択を誤った感があるのですが、まぁそれは調査不足ということで自己責任ですね。前半期はこの学部で2つ、他学部で2つの合計4つの授業を受講しています。他の学部で興味のある授業を取れるのは魅力的なことですが、いかんせん学部ごとにかなり距離が開いており、振り返ると他キャンパスにある学部の授業などを選択しなかったことで自分を褒めてやりたいくらいです。
  ところで前期選択した授業に「Norma y uso correcto del español」というものがあり、これはその名の通りスペイン語の正しい使い方や綴りやアクセントなどの規則を勉強します。それなりに楽しい授業ですが、「~~年以前は正しかったアレコレが、~~年以降は間違いとしてスペイン語学会によって定められた」などの説明は、日本でいうところの「ら抜き言葉」がここ十数年で間違いではない国語として辞書にも載っている情況に似ておりかなり混乱してしまいますし、聴きとるのに精一杯で情報の取捨選択ができないと無駄な労力も増えますね。ちなみにこの授業の私が選択したクラスは留学生が多く、それ相応の速度で授業が進むのですが、ここ数回で難易度が急激に上がってきた感がビシバシしており、さらなる予習の必要性を痛感しております。特にその授業内容に応じた専門用語とでもいいますか、この授業の場合では文法用語の理解量が圧倒的に足りておらず、まさしく後悔先に立たずといったところです。来年以降留学される学生さんに、自分の選択学部に合った用語をやりすぎなくらい予習しておくことを、せずに後悔している立場からお薦めします。

 

・カルチャーショックについて

 カルチャーショックとはいっても、私の場合は以前に一度スペインに滞在したことがあり、少なからず経験があったことでショック自体は小さかったのですが、それでもやはり慣れない問題というものは挙げればキリがないので敢えて選ぶならfiestaとデモについてでしょうか。
 fiestaという言葉には2つの意味があり、通常の意味である「祭り」の他に、ここバレンシアではsalirという動詞と合わせて「週末にbarやディスコに繰り出す」という意味があります。とはいっても、多くの人が特に週末に限らず暇を見つけてはfiestaしている情況でして、授業の課題があるからなどと言って誘いを断ることも間々あります。皆で飲んで踊るというのも楽しいのですが、如何せんやっと終わったと思ったら夜中の2時3時だったなんてことも稀ではなく、さすがに勉学に影響が出ても困りますし、実際に課題があった場合には泣きを見るはめになります。その辺りは自身で折り合いをつけていく必要があるでしょう。
  さて、日本以外の国々ではある意味嗜みのようなものであるデモですが、ここスペインでもその例に漏れず頻繁に起こっています。今月も知っているだけで5回以上はあり、そのせいで授業が潰れたこともありました。デモは主に経費削減や各種料金の値上げに反対した労組や学生組合などによって行われます。日本にいる時はそういった現場に出くわす機会がほぼなかったため、警察が出動する情況に物々しさを感じてしまうのですが、周りの住民たちは実に落ち着いたもので、もはやデモは恒例行事と化しているようです。デモ隊もそれなりに規律正しく行動しており、特に暴動が起こったという話も聞かないため危険ということはないようですが、万が一に備えて迂回ルートを用意しておいたほうが無難かもしれませんね。

 

・自由テーマ:valenbisi

  バレンシアはスペイン第三の都市というだけあって交通手段が豊富です。バス、地下鉄、タクシー、そして自転車貸し出しサービスであるvalenbisi、これは申込時にお金を払って登録をすれば、向こう一年は何時でも何回でもサービスを利用してもいいというもので、市内に数百の専用駐輪場があり、数千のレンタル自転車がそれらを循環しています。私自身かなりお世話になっており、通学に市内散策にと幅広い用途があります。しかし欠点もあり、ひとつは時間帯や場所によって自転車がなかったり、逆に自転車を停める場所がなかったりすることです。これらは因果関係にあり、例えば朝の時間帯など大学近辺の駐輪場が競うように埋められ、更に空きスペースを探すためにその近辺を徘徊する自転車が多く、為に他の地域の駐輪場の自転車が一時的に枯渇することも稀ではありません。またこのサービスは30分以内に一度最寄りの駐輪場に自転車を返さなければ罰金を取られる規則があり、この朝の時間帯で罰金を徴収される利用者が多いらしく注意が必要です。もうひとつの欠点は、不特定多数の人間が利用するため、自転車がいつでも万全の状態であるとは限らないことです。ベルがなかったり部品が変形して上手く走れないなどならまだしも、チェーンがなかったりサドルがなかったりする情況はどうにも見ていて気分の悪いものがあります。とはいえ、このサービスの有用性は高く、特にバレンシア市内には多くの自転車専用帯が設定されているためストレスも少なく、かなり便利なサービスであることは疑うべくもありません。これらの長所短所を十二分に踏まえた上で利用すれば、このvalenbisiはバレンシア生活に欠かすことができない重要なアイテムとなるでしょう。