洪水の状況と長期休暇(一時帰国)
九月の終わりに期末テストが終わり、どのように過ごそうかと計画していた頃から、50年に一度と言われる大洪水が起こり始めました。それを身近に感じたのは、日本人の友人がタイに遊びに来たので、アユタヤツアーに参加した時の事です。バンでアユタヤ遺跡をいくつか周っている時に、浸水した多くの家や、氾濫している川を目の当たりにしました。洪水を食い止めるために住宅街の周りが土嚢で囲まれていたのが印象的です。その土嚢のせいで日照りが強いにもかかわらず、そこにある多くの家は浸水したまま放置されていました。その頃から洪水からバンコク都市部を守るために多くの人々が犠牲になっていたのです。アユタヤの遺跡巡りも終わり、バンコクでショッピングや、マッサージ、タイ料理を楽しみ、友人は安全に旅行が出来たので満足そうに帰っていきました。
その後、少しずつ洪水の被害が拡大していると、ニュースで放送していました。せっかくの長期休暇でしたが、いつもの週末と変わらない日々を過ごしていました。 ある日、スーパーに行ってみると、洪水の影響で主に水、カップラーメン、トイレットペーパーが売り切れ状態になっていました。もちろん大学のキャンパスにあるコンビニの飲料品や食品は完売状態が続き、レストランでも食材不足で注文できないメニューがある日も珍しくありませんでした。色々な洪水に関する情報が飛び交ってはいましたが、洪水による直接的な被害はアサンプション大学は受けずに済んでいました。しかし、多くの学生は遠くから車で通学しているため、新学期が延長されました。合計三回の延長で最終的に、一か月新学期が遅れました。そして、洪水の状況が日々悪化する中、龍谷大学はタイの交換留学生を一時帰国させる事を決定しました。
一時はどうなるかと心配で何も手につかない状態でしたが、龍谷大学の迅速な対応により、落ち着きを取り戻すことができました。その決定から何時間後にはチケットの予約と発券をし、次の日には一時帰国する手配が整いました。一時帰国に当たり心配していたのが、再入国手続きでした。というのも、入国管理局まで行く時間もなく、その近くがすでに洪水の影響を受けているとの情報を聞いたからです。仕方なく当日のフライト前に、空港内にある入国管理局で再入国手続きをしてもらうことにしました。(今回は緊急事態で当日空港で再入国手続きをしましたが、一時帰国する前には余裕をもって入国管理局まで行くことをおすすめします。フライトの条件によっては空港で再入国手続きをしてもらえないことがあるので。) そして、日本に一時帰国することができました。
日本を離れて一年も経ってないのに、違和感を感じました。当然のように人々が日本語を話してるのを聞き、一時は戸惑いました。(笑) ですが、その戸惑いも家族と会った瞬間にはなくなっていました。留学してから七か月が以上経っているにも関わらず、まるで昨日も一緒にいたかのような感じを受け、改めて家族の温かさと絆の深さを知ることができました。多くの友人や親族とも再開することができ本当に嬉しかったです。留学のため国を離れ異国で生活していると、家族や友人の存在感の大きさや、ありがたさをひしひしと感じていました。
また、日本に帰国した後、自分は何がしたいのか、何をすべきか考えさせてもらういい機会になりました。 その中の一つに、今は亡き恩師のお墓参りに行き、留学していることの報告と、感謝を伝えに行くことでした。その恩師は塾の先生で、中学から大学まで面倒を見て下さり、勉強以外にも色々教えてくださいました。病気のため急死されたので、何一つ恩返しをすることも出来ず、留学するという報告をする機会もありませんでした。和歌山県出身の独身で、家族とも疎遠だった恩師の実家の住所すら知らず、一から調べる所から始めました。以前に塾の教室を借りていた大家さんに事情を説明し、何とかお兄さんの会社の電話番号を頂くことができました。その後、会社に電話をしてみると、お兄さんの奥さんと話すことができました。その方の話によると相当山奥にあるらしく、地元の人じゃないと危険だと言うことでした。親切にも時間が合えば連れて行ってくれると言ってくれましたが、結局都合が合わず自力で行くことにしました。車で出発すること二時間半、噂で伺っていた山道にさしかかり、「地元の人じゃないと危険」と言われた事に納得がいきました。というのも、まさにすぐ横は谷底で、車一台が通るのがやっとの道だったからです。最終的に無事に到着し、家族の方との挨拶やお話しを終え、一つの帰国時の目標であったお墓参りに行くことができました。留学の再出発の決意と感謝を伝えた後、家族の方に無理を言って恩師の写真を一枚頂きました。そしてその写真を今回タイに来た時に持ってきました。
長くなりましたが、留学生活を支えてくださっている全ての人達に感謝しながら、残りの短い留学生活を楽しみ、少しでも成長し、日本に帰国したいと考えています。