筆者は、友人と3人で京畿道(キョンギド)の都市、水原市(スウォン)と坡州市(パジュ)に2泊3日の旅行に行った。日本の新幹線にあたる高速鉄道、KTXを使って水原に行き、韓国人の友人の実家に泊めてもらった。水原市では世界遺産の水原華城(スウォンファソン、수원화성)を見学し、坡州市では鳥頭山統一展望台(オドゥサントンイルチョンマンデ、오두산통일전망대)を見学した。
KTX。旅の始まりの釜山駅にて。料金は日本の新幹線より安く、乗り心地も良い。釜山から水原までを約90分で結ぶ。
・水原華城
水原華城は水原市にある李氏朝鮮時代の城である。22代国王の正租(イ・サン)が父の思悼世子(セドセジャ)の墓と王宮を城壁や門、楼閣、塔で取り囲んで防護を固め、2年もの年月と約37万人の労働力によって完成させた城である。城壁の長さは5.7キロメートルである。また、1997年に世界文化遺産に登録されている。
広く、名の通り綺麗な城だとは聞いていたものの、実際に行き、その広さと美しさを目にしたときは驚かされた。あまりに広かったため、筆者たちは有名な水門や門のみしか見学することができなかった。城を一周し、すべての門や楼閣、塔を見学することができず、残念であったが、それでも満足であった。
世界遺産であることを表す石碑。
城の城壁と門。
城の楼閣。
北水門(華虹門)。名の通り、城の北に位置する城の唯一の水門。
城壁を歩く。向こうに見えるのは長安門。
長安門。城の北側の門。
華城行宮。ドラマ「チャングムの誓い」の舞台になった。
八達門。城の南側の門。
・鳥頭山統一展望台
鳥頭山統一展望台は北朝鮮との国境の町、坡州市にある展望台である。北朝鮮とは約2.1キロの距離にあり、国境となっているイムジン川の対岸の北朝鮮の村や軍事拠点を見ることができる。また、韓国と北朝鮮との関係についてや、北朝鮮との統一の可能性についてのパネル、北朝鮮の切手とお金などが展示されており、北朝鮮のことや南北関係についても学ぶことができる。北朝鮮との国境で有名な板門店やDMZへはツアーでしか行けなかったり、服装や持ち物の規定や、写真撮影や見学の自由が制限されているなど不自由が多数あるが、ここでは自由に見学できる。(ただし、南北の関係が緊迫している時は立ち入り禁止となる。)
展望台から見る景色は非常に美しいものであるが、見たときに感じた気持ちは複雑であった。純粋にその景色が美しいと感じる気持ち、同じ民族が思想の違いで争い、冷戦が終わった現在も2つの国に分断している事実を見て悲しいと感じる気持ち、分断が日本になくてよかったなと他人事のように感じる気持ち、平和という状態は当たり前ではないんだと感じる気持ち、見学している今この瞬間にも戦争が再び起きてもおかしくない場所であるという事実と緊張感。それらがまじりあった気持ちを感じた。筆者はMP3プレイヤーから流れる「イムジン河」の曲を聴きながらその曲の歌詞と目の前の実際の風景をただただ噛みしめていた。
展望台外観。
イムジン川と漢江(ハンガン)の合流地点。陸の突き出ている所に韓国軍の監視所がある。
韓国側と北朝鮮側の境目。
川の向こう側が北朝鮮側。田畑と村、そこで働く人々が見える。
展望台から韓国側を見る。川を境として国力の違いは一目瞭然だ。
韓国側。川沿いに北朝鮮工作員の侵入を防ぐためのフェンスがあり、一定間隔で塹壕と監視塔がある。
今回の旅行は友人たちとただ単に遊んで思い出を作れただけでなく、何かを考える切っ掛けを作れた有意義な旅行であった。留学期間中は勉強も大切であるが、このように観光をしてはいかがだろうか。リフレッシュになるだけでなく、何かを考える切っ掛けになったり、そこから学べることもあるはずだ。
以上