グローバル教育推進センター交換留学マンスリーレポート

上海師範大学
2013年9月号 経済学部 H.H

カルチャーショックについて

私を含め、おそらくほとんどの日本人が感じるであろう、中国でのカルチャーショックは、店員の態度の悪さだと思います。もちろん、全ての店がそういったわけではなく、愛想の良いお店もちらほら有りますが、やはり少ないです。

私が3月に、初めて中国に来て2日経った頃、あるお店で2元くらいの商品を買うのに、100元札を出した時があったのですが、それはもう、あからさまに嫌な顔をされてしまいました。中国では、小さい買い物をするときに、大きなお札を出すというのは、日本よりもずっと嫌がられます。ですが、あんな態度をとらなくても・・・というのが率直な感想で、少しショックを受けました。その後しばらくの間、100元札しか財布にない時は、ため息が出たものです。

ですが、人間の適応能力もまた素晴らしいもので、今となってはもう店員の態度が気になる事もありません。また今は、ある程度小銭が残るようにお金を支払うので、小さい買い物をするときに、大きなお札を出すこと自体が減りました。郷に入れば郷に従え、とはまさにこの事でしょう。

 

行動することの大切さ

人間には、過去の経験から、将来にはきっとこんな事が起こるだろう、と予測する力があります。この「予測力」は、生きていくうえで役立つことも多いですが、人生を積極的に進めるという点では、マイナスに作用することも多いです。今月、私はこの「予測力」がもたらす弊害を、ひしひしと感じました。

先月号にも書きましたが、私は夏休みを日本に帰って過ごしていました。八月も下旬になり、中国に戻る日が近づいていた時、正直なところ、あまり中国に戻りたいとは思っていませんでした。日本での夏休みの生活が、あまりにも充実していた、というのも理由の一ですが、もうひとつの理由として、夏休み前の学期と、同じような生活をするために、中国へ行くなら退屈だな、と感じていたのです。つまり前学期の間に、中国という土地で、新鮮に感じられる出来事は、あらかた経験してしまっただろう、と思っていたのです。

ですが、実際のところ、中国に戻ってきてからの一カ月で経験したことは、今までの留学生活の中で、一番といって良いくらいに、素晴らしいものでした。この経験の中で、特に印象的だった2つの出来事について、話したいと思います。

まず1つ目として、私が中国の大学に戻ってきて感動したのは、前学期に知り合った友達と、お互い母国から離れたこの土地で、再会できたことでした。それぞれが自分の人生を歩むうえで、その瞬間瞬間に「次の一歩」を選択していきます。その一歩のタイミングが重なって、初めて出会いが生まれます。前学期にそうして出会った友達と、またこうして次の一歩が重なり、再会を果たすというのは、とても不思議であり、また幸せでもありました。

これは決して、外国の友達に限ったことではありません。前学期からの日本人の友達と、今学期に知り合った日本人の友達とで食事をしに行った時、帰りのタクシーで友達がこんなこと言っていました。「上海で初めて出会って、こうやって一緒のタクシーに乗ってるって、奇跡みたいなもんだよね。」この何気ない一言がとても気に入っています。毎日の奇跡の積み重ねで、今ここに自分がいるのだと思うと、自然と感謝の気持ちが湧いてきます。

また逆に、前学期を最後に国へ帰ってしまった友達もたくさんいます。その中には、今後一生会わない友達も、たくさんいるでしょう。そのことを考えると、やりきれない気持ちになります。

2つ目の経験は、授業のクラスが新しくなり、クラスメイトも一新されたことです。学期が変わりクラスが変わるのは、ごく普通のことですが、ここで日本と違うのは、初めて出会う国の人が、クラスメイトとして入ってくることです。前学期のクラスは、インドネシアの人が多いクラスでしたが、今回は欧米系の人が多く、雰囲気が様変わりしました。

韓国や中国、インドネシアといった、私たちと同じ極東アジアの人は、違いこそあれ、考え方や、雰囲気、性格の面で、似ていると感じる部分も多々あります。ですが欧米系の人に関しては、自分たちとの違いを感じることが本当に多いです。そんな中で、最近はイタリア人とチェコ人のクラスメイトと、よく一緒にいます。彼女たちと一緒にいると、そういった「違い」の部分で疲れることもしばしばですが、逆に日本人では想像もつかないような、面白い発言をしてくれたりと、なかなか刺激的です。

さて、私はこの話の最初に、「予測力」がもたらす弊害について書きました。今学期が始まる前、私は中国ではもう、新鮮な経験は出来ないだろう、と思っていたのです。しかし実際はどうでしょうか?前学期からの友達と再会することに、これほど幸せを感じるとは思っていませんでした。ましてや、イタリア人とチェコ人のクラスメイトと仲良くなり、そこからたくさんの経験を得るなどとは、これっぽっちも想像していませんでした。

人間の、未来を予測する力など、たかが知れています。ですがその「予測力」は、私たちが気付かないうちに、未来の可能性を、勝手に取捨選択してしまいがちです。

こうならないために重要なのが、「行動する」ということだと私は思います。動き出してしまえば、そこに「予測力」が介入する隙間はありません。まず出来ることからやってみて、そのあとから考てみるのでも、決して遅くはないと思います。

この文章を読んでいる方の多くは、留学を考えている人だと思います。もしあなたが、留学に行くか行かないか、その悩んでる条件が、例えば金銭面といった物理的な問題ではなく、不安や心配といった心理的な問題であるならば、留学へ一歩踏み出してみることを、お勧めします。