Center for the Promotion of Global Education

グローバル教育推進センター交換留学マンスリーレポート

台湾師範大学
2014年4月号 文学部 Y.A

【授業紹介(師範大学篇)】

前回は、MTCの授業を紹介したので、今回は師範大學本科を紹介したい。師範大学の交換留学生は、入学許可が下りた後に所属の学部を選ばねばならない。私は本学で文学部に所属し、東洋史を専攻しているので、師大でも歴史学部を選択した。ただ、必ずしも同じ学部学科を選ばねばならない訳ではない。留学生はどの学部の授業でも、担当教員の許可を受けることで、受講できることになっているからである。

先に述べたように、私が選んだのは歴史学部であるが、とっている授業は3コマだけで、他はすべて華語学部(中国語学部)の授業である。この学部は、外国人生徒向けの学部で、中国語が母語でない生徒向けの中国語の授業が行われる。授業のレベルは、国語センターと同程度のものからそれ以上に高級なものまである。しかし、学生のレベルは、その他の学部に比べて著しく低い。勿論、中国語のレベルは一定以上であるから、低いというのは授業や先生に対する態度、マナーの点である。人数の多いクラスでは授業中にお喋り、携帯電話の操作、立ち歩き、抜け出すというのは普通で、パワーポイントの発表では、ネットからのコピー&ペーストの為に読み上げられず、詰まるという場面もちらほら。特に態度に関しては、一緒に受講していて不快に思うこともあるレベルである。台湾人の友人から華語学部の生徒が体育の授業中にずっと喋っていて授業もまともに取り組まないから鬱陶しいという話を聞いたことがあるので、これは私だけが感じていることではないだろう。。国語センターは高校卒業したばかりの若者から社会人まで、限られた期間内に目的達成のために中国語を勉強しようという学生が多く、意識も比較的高い、師大本科で学ぶのが我々交換留学生の本来の目的だが、中国語を学ぶという意味では、補助的に入学が認められる国語センターのほうが効果が高いのではないだろうかというのが私の考えである。閑話休題、中国語文法、発音、文章などの授業は予め、試験を受け、レベルに応じてABCに振り分けられる。その他の中国史や台湾文化等に関する授業などは、レベルに関係なく受講できる。

歴史学部の授業は当然すべて中国語で行われる。先生によっては台湾語を少し挟む人もいるが、名詞程度で聞き取られなくても差し支えない。ただ、どの授業にも共通して言えることは、華語学部や国語センターの先生が話す外国人に聞き取りやすい標準的な中国語ではないということ。台湾独特の訛りが入っているのと、板書の字がきれいな先生は多くなく、前後の文や先生の声を聴いて、想像しないと読めないときがある。教科書も当然外国人向けの語学教科書ではないので、見たことのない文法、書面表現などのオンパレードで先生の話を聞き、板書をとって、教科書を読むというのは、私の中国語レベルではかなり疲れる。現地学生向けの講義に関しては単位の取得も怪しいので、海外での貴重な経験ということで心しまっておくことにしたい。

 

【海外での病院経験】

私はこの7か月間の留学(まだ途中である)で、既に3度病院へ行く羽目になった。まず1回目は、ルームメイト(日本人)が夜中に腹痛を起こしたらしく、床でもがいているのを偶然発見し、救急車を呼んで病院に同行した。勿論、海外で初めての救急車である。彼は今学期からの留学生で、中国語もほぼ話せなかったため、私が医者や看護婦の指示を翻訳せねばならず、早朝まで病院で過ごすことになった。

2回目も付添である。ルームメイト(中国人)が旅先で自転車に乗りながら携帯電話を操作していたために、転倒し、肩や腕に大きな擦り傷を負って帰ってきた。旅先の病院で、消毒や包帯などの処置はしてきたものの、ガーゼの交換は毎日自分でしなければいけない。ある日の晩、急に私の名を呼び、真剣な顔で一緒に病院に来てほしいという。何があったが尋ねると、「赤い線が現れた!」からだという。怪我を報告した晩に故郷の母から「傷口近くの血管が赤く浮き出てくると危険だ。」という話をきき大慌てしているのである。私は「どうせ変な迷信だろう」と思って、とりあわないつもりであったが、慌て方が尋常でないうえ、どうしもついて行ってほしいと言うので、渋々付き添っていくことにした。彼は大真面目だが、私はまだ信じていない。緊急外来なので、順番がすぐに回ってきた。医者に見せると、すぐに注射を打たねばならぬ、ということで、注射代を奥の窓口で払ってすぐに注射を打つことになった。どうやら、傷口から破傷風菌が入り、血管が炎症を起こしているから「赤い線」が現れていたらしいのである。どうやら迷信ではなかった。ルームメイトは中国人であるから、言葉の問題はない。彼は気が弱いどころか、かなり図太い性格であるから、私が付き添う必要があったとは思えない。時間の浪費だった。

3回目はとうとう自分の番である。春休み(といっても5日間だけ)の1日目の晩に急に喉が痛くなり、熱が出た。これはまずいと思い、宿題をやめてすぐに床に入ったが、次の日も気分がよろしくない。海外旅行保険に入っていると無料で診療を受けられるうえに、病院で出してもらう薬も無料になるという話を聞いていたので、保険会社と提携している病院を調べ、空いていそうなところへ行くことにした。1年に1度風邪をひくかひかぬかというくらいに健康な私が、まずいと思うくらいなので、タクシーで行こうかな、とも考えたが「タクシー代で帰りに美味し物でも食って帰ろう」と思って、駅まで歩いて、地下鉄で行くことにした。日本語可の医師がいない病院であったが、幸いにも優しい女医さんにも恵まれ、受付での処理もボランティアのおじいさんが手伝ってくださったおかげで、何事も起こらず帰路に就くことができ、すこし豪華な昼食にもありつけた。困ったことといえば、お尻に注射を打たれたこと、そしてもらった薬が全然効かなかったことである。結局、風邪は現時点でも治っておらず、市販の薬を変えながら飲み続けている。海外での風邪はこじらせるとシツコイ。季節の変わり目には体調に注意されたい。

 

猫空ゴンドラ