Center for the Promotion of Global Education

グローバル教育推進センター交換留学マンスリーレポート

オーボアカデミー大学
2023年12月号 国際学部 N.H

①治安、危険に感じたこと、トラブルについて

 

治安に関してはあまり話すことはありません。今となっては個人的にはトゥルクは日本より安全なのじゃないかと感じています。財布を落としたことがあるのですがちゃんと近くのお店に届けられていました。最初は、ホームレスが日本よりは多かったり、宗教の勧誘、単純にお金をせびられることがあったりして身構えてしまうのですが、日本とは環境が違うだけで慣れたら本当になんともないです。最初びっくりすると思いますがフィンランド人の親は飲食店などに入る時、自分の赤ちゃんを外に放置して食事を楽しみます。雑に扱っているのではなく、ここではそれが良いとされています。もしフィンランドに来ることがあればレストランのそばにベビーカーがたくさん並んでいるところを見る事ができるかもしれません。フィンランドではペットボトルや缶に保証金がつけられており、指定の場所へ投函しないとお金が帰ってこないシステムになってます。これにより誰もポイ捨てする人がおらず、道も日本より綺麗だと思います。フィンランド人と接していると彼らは落ち着いた性格をしている人が多く、この治安の良さにも納得がいきます。

 

②フィンランドの冬

フィンランドの気候に関しては、正直日本人なら誰でも苦しむと思います。ここでは精神的にどう立ち回ればいいか僕なりの考え方を書きたいと思います。僕は日本の真夏の猛暑日が好きなような人間なので余計耐えられませんでした。今になっては気温は-20℃を下回る日もあり、毎朝起きて本当にこの冬が1日でも早く終わってくれないかと思うぐらい憂鬱な気候です。これが3月、4月まで続きます。時間のある時は外に出て何かしようと思いたいのですが、寒すぎて気力が奪われ、4時までには真っ暗になり永遠かと思う夜が始まります。長い夜が明けても天気が悪く青空を拝める日はめったにないです。特にアジアの気候に慣れている私たちにとって体も心もこの気候にやられる人はほとんどかと思います。来る前はなんとかなるだろ、と思ってたのですが、特に朝9時に起きても真っ暗な外や、真昼間から日が落ち始めているところを見ると結構精神的に来るものがあります。

でも先週ラップランドへ旅行に行き、それが大きな起点になり気持ちを切り替えられました。外は-30℃の世界、冷凍庫よりも冷たい中長時間居ることで文字通り体が凍って固まってしまい動かなくなります。冷凍庫の中にしまわれる想像をすればわかりやすいと思います。それにプラスで風と雪が体力、そして体温を奪います。”外に出る”という行為自体に死の危険性があり、生きるために家に帰り、生きるために家で時間を過ごします。これは何の誇張でもなく、僕は凍結による故障でラップランド行の電車が止まってしまい森の真ん中に数時間暖房無しで過ごしたのですが、これはもう本当に死ぬんじゃないかと実際思いました。

↓ラップランドの思い出

普通は、せっかくフィンランドまで留学に来ているのに引きこもるなんてどうかしている、という思いと外に出て活動的になる気力が湧かない、という思いの矛盾が入り交ざります。家に居る時は死んだような気持ちでただ時が過ぎるのを待ち、早く外へ出ていきいきと活動したいと感じると思います。しかしこのフィンランド最北の極地で僕はこの家と外の概念が完全に逆転しました。ここまで来たからこそ、”家でただ時が過ぎるのを待つ”という事にとてつもない安心とありがたみを感じました。この悟りが家を出て活動的でアクティブにならなければいけないという変なこだわりとかプライドとかをぶち壊してくれたんだと思います。

もしこれを読んでいるあなたがフィンランドの冬を迎えようとしていて、不安や焦りに押しつぶされそうになっているなら、大切なことは堂々と思いっきりゆっくり過ごすことです。たまには学校もサボっちゃっても大丈夫です。胸を張って引きこもります。この国では許されるし、ここはそうゆう場所です。重要なのは心の持ちようなんだと思います。

この留学はまだ折り返し地点ですが、この留学はこの心のゆとりを持つということを学ぶための留学なんじゃないんだろうかと思います。「学生生活がもう終わってしまう、若い間にしか、今にしかできないことが山ほどある、今のうちにキャリアを積まないと、」と色々と自分自身をせかしてしまうこともありますが、まず人生はそういうものじゃない、ということをこの世界一幸せな国に身をもって教えられました。

考えたらすぐわかるようなことですが、日本人特有の忙しい人はすごいとか休まず仕事している人がえらいとか、残業することとか、そんな風な考え方は本当に変だなと思えるようになれました。社会人になる前に大切なことに気付けることができたと思います。