Center for the Promotion of Global Education

グローバル教育推進センター交換留学マンスリーレポート

オーフス大学
2016年6月号 国際文化学部 S.A

この留学を振り返って / 帰国後どう留学経験を活かす予定か

 

今、留学生活を終えて感じることは、デンマークで過ごした10ヶ月間は、長くもあり、短くもあったということです。デンマークに到着したときを思い出すと、もう10ヶ月も経ったのかと感じますし、10ヶ月間の様々な出来事を一つ一つ思い出していくと、ずいぶんと色んなことがあって長かったなあとも思います。日本に帰国して1週間程度経ちましたが、実のところまだ自分でもこの留学生活をしっかり整理できていません。正直に言いますと、この留学で自分が何を得たのかさえもはっきりしません。ただ、現在はっきりと言えることは、私にとって海外で生活するということは想像以上に大変だったということです。渡航前までに十分な英語力を身につけていたつもりでしたが、元来の人見知りの性格により、人とうまく英語でコミュニケーションをとれませんでした。また、これは渡航前から覚悟していたことだったのですが、周りの皆がデンマーク語を話しており、その会話の内容がまったくわからないという環境もストレスでした。これらのような小さなストレスが積み重なり、渡航後から2ヶ月間ほどは気分が沈んだ日々を送っていました。しかし、そのような環境にも慣れてゆき、徐々にデンマーク人学生や、シェアハウスで一緒に住んでいた留学生とも交流できるようになりました。異なる文化を持つ留学生との共同生活も、最初は些細な生活習慣の違いなどが気になり、ストレスに感じていましたが、こういうものかと折り合いをつけ割り切って生活してみると、案外快適に過ごすことができました。慣れない英語での授業も、ついていくのがやっとでしたが、予習復習をしっかりとする、わからないところは教授や他の学生に尋ねるなどして秋学期は乗り切ることができました。しかし、春学期に入り、デンマークでの生活にも慣れたと油断していたら、抑うつ症のようなものにかかってしまい、食欲不振や不眠などに悩まされました。はっきりとした原因はわからないのですが、日頃の自分でも気づかないような小さなストレスが募って発症したのだと思います。そのため春学期は自分の思うように生活することができませんでした。

ここまでネガティブな面しか書いていませんが、もちろん楽しかったこともたくさんあります。私は特に、オーフス大学の日本学科の学生たちと仲良くさせてもらっていたので、彼らの寮に行ってパーティーをしたり、一緒にバーに行ってお酒を飲んだり、一緒にギターを弾いたり、クリスマスに友達の実家にお邪魔させてもらったりとたくさんの貴重な経験をすることができました。彼ら彼女らと出会えたことは私にとってとても幸運なことでしたし、日本人留学生との交流も私の大きな心の支えでした。彼ら彼女らにはとても感謝しています。

私がここで皆さんにお伝えしたいことは、「こうでなければならないという留学のかたち」は存在しないということです。留学のかたちは人によってそれぞれで、それには正解はないと思います。様々な人々との交流に力を入れた人、勉学に励んだ人、ボランティアや地域の活動に打ち込んだ人、はたまた思うように留学生活を送れなかった人など、様々なケースがあって当然だと思います。私は、思うように留学生活を送ることができませんでしたが、それではこの留学生活には意味がなかったのかといわれると、そうではないと思います。実際に海外で生活してみると、いやでも色々なことを考えるようになります。一度自国を離れて見ず知らずの国で生活することは、様々なことを客観視したり、自分自身について見つめ直したりするいい機会なのかもしれません。今は、留学によって何も得ることがなかったと思っていても、今後の長い人生の中で、この留学の経験が何かの役に立つ時が来ることを、私は信じています。また、ここでは書ききれなかった私の留学体験を、今後留学に行く方々に伝えていくことができれば、私の留学も何らかの意味を成すのではないかと思います。最後に、このような貴重な機会をくださった龍谷大学グローバル教育推進センターの方々に感謝申し上げます。