①試験について
オーフス大学のArtsでは、oral examとpaper examが主な試験形式となります。
paper examは、通常10から15ページのエッセイが課され、執筆の期間は授業によって様々です。エッセイの内容はもちろんのこと、文字や行間のサイズ、書式、参考文献の書き方など、厳しく採点されるので、教授に指示されたスタイルをきっちり守って書くことが重要です。
oral examは、デンマークの大学では一般的な試験形式で、与えられたトピックに関して15分ほどのプレゼンテーションを行ない、その後に試験官による質問に答えるというものです。準備期間は授業によって様々で、トピックが試験の24時間前や12時間前、3時間前に知らされます。中には試験の30分前にトピックが与えられるような授業もあるようですが、私や友人の経験から24時間前が一般的だと思います。試験官は通常二人で、一人は授業を担当している教授で、もう一人は他の大学から招かれた教授により構成されています。授業を担当している教授一人だけだと、試験の公正な評価が出来ない場合があるため、この方式が採用されているようです。日本の大学では、馴染みのない試験形式なので、はじめての口頭試験ではとても緊張しました。私が受けた口頭試験では、机のテーブルクロスが緑色で(緑色は、人をリラックスさせる効果があるため)、試験の前にコーヒーやチョコレートが振る舞われました。このように試験官は学生を必要以上に緊張させず、ベストな状態で試験が受けられるように気を使ってくれます。私の場合は、試験官二人を前に、とてもチョコやコーヒーをいただく気にはなれませんでしたが。。
②自国を知るということ
こちらでは、大学の友人(特に日本語学科の学生)や寮の人達によく日本の様々な事柄について尋ねられます。日本の文化や政治、歴史など多岐にわたり、英語で日本特有の文化や日本人の精神性を説明することはとても難しく、上手く答えられないことが多いので、歯がゆい気持ちになります。また、質問を受けて、自分の自国の文化や歴史に関する知識が乏しいことにもよく気づかされます。デンマークでは、私が想像していた以上に、日本の文化(特に漫画やアニメ)や歴史に興味を持っている学生が多く、中には日本人の私でも知らないようなことを知っている人もいます。最近では、日本の天皇制についてどう思うか、特攻攻撃は日本人の愛国心の強さが可能にしたのか、などの質問を受け、返答に困りました。こちらの学生は、私がデンマークについて尋ねると、しっかり答えてくれ、社会問題などに対しては自分の意見をしっかり持っているように思います。自国の文化や歴史を知り、それを誇りに思っている人が多いデンマークと比べると、日本人は日本の歴史や文化に対して自虐的な思想を抱いていることが多いように思います。もちろん、歴史や文化のすべてを肯定することは間違っていますし、様々な問題に目を向けることは大切ですが、もう少し日本特有の文化や日本人にしかない精神性などにも目を向け、自国を知ることが、海外で日本人としてのプレゼンスを発揮する上で大切だと思います。