こんにちは、今月が最終号となります。当初はとても長く感じた約10か月間の交換留学も終わりに近づいています。5月中旬から、悔いのないように行きたかった場所に友達と旅行したり、持って帰るお土産を買ったりしています。また、大変お世話になった友人たちと会う機会をたくさん作り、お別れを告げました。帰国が待ちきれないのと同時に、容易には会えない友人たちとの関係を考えると、物悲しく感傷的な気持ちになります。日本或いはフランスでまた会うと約束して、帰国しようとおもいます。
今月のテーマ テーマ1~カルチャーショック~
まず、大学システムの違いについて話します。一番早い授業は7時からあります。基本的に授業時間は2時間で、移動時間等は確保されていません。始まり、終わりのチャイムは無く、学生が集まったら授業が始まります。昼休みの時間は12時から13時まで確保されていますが、それ以外はより自由に組めるシステムとなっています。エアコンは無いですが、ヒーターは設備されている点も面白いです。
次は日常生活での変化を話します。都市間の移動に使うTGVなどの電車に乗る際、改札が無い場合があります。価格はより事前に取るほど安くなります。なのでバカンスの時期は結構早めに予約しておくことをお勧めします。ネット上でオンラインチケットを入手して車掌さんに記載されているQRコードを読み取ってもらう形になります。日本のように改札で込み合うことがなく、便利だと思った反面、時々車掌さんが回ってこないこともあります。利用する際はきちんと切符を買って乗っていますが、不正乗車もできるのではないかと少し疑ってしまいます。
最後に、カップラーメンの違いを紹介します。作り方や商品の見た目、味はそれほど変化ありません。何気なく食べていてふと、「あれ、麺短くね?」となりました。注意深く見てみると、日本の麺と比較すると約半分程度の長さしかありませんでした。これはメーカー側がヨーロッパの麺をすすらない食文化に合わせて調整しているのではないかと考えました。久しぶりのラーメンを一気にすすれなかったのは少し残念でしたが、面白い違いに気づけました。
テーマ2~この留学を振り返って~
留学当初はとにかく不安でした。龍谷大学からこの大学に派遣されたのは私一人だったため、大学のスケージュール等で疑問に思っても気軽に頼れる人がいなかったからです。幸い、他の日本人留学生の方たちと知り合えたので、なんとか乗り越えられました。ある程度、大学関係や私生活が落ち着いて以降は、京都でも一人暮らし経験があったので、それほど困ったことはなく、生活できた印象です。年が明けてからの留学生活は本当にあっという間でした。
試験について、留学生向けの授業では辞書の持ち込みを許可されている教科が多い印象でした。しかし、試験によって仏和辞典は不可だが、英和辞典は可などの制約がありました。また、試験に出席できない事情を事前に説明、証明すれば、しかるべき対応をしてくれます。
私自身の振り返り。人のことを気にしすぎる性格と気づくことができ、すこしそれを緩和できたと思います。留学する前はフランス語を使う勇気が出ませんでした。主な原因は失敗すること、相手に伝わらない場合の不安等です。現地でフランス語の授業で他の留学生たちのフランス語を聴いて、完璧じゃなくても先生に伝えようとする力、母国語の訛りなど気にせず、自信を持って発言している学生を見て、変わりました。年が明けてからは、相手に伝わらない場合の不安な気持ちではなく、相手に伝わった喜びの気持ちを感じることが多くなりました。
この留学中に出会えた方たちは本当に優しくて、いつも助けてもらう、いろいろ教えてもらうことばかりでした。この留学以降も続く深い縁、絆を築けたことが、この留学の一番の宝物です。
自由テーマ テーマ1~リールについて~
最後に、長い間お世話になったこの街、リールについて紹介したいと思います。一言で表すと、「フランスとベルギーの良いとこ取りをした芸術、食文化に富んだ温かい街。」だと思います。私のお気に入りの場所はリール城塞(Citadelle de Lille)です。きれいな五角形の要塞で周りは遊歩道に囲まれています。地図で見ると星形に見えるのも面白いです。この星形の遊歩道を一周するのが私の散歩ルートでした。また、そのすぐ隣にはリール動物園や遊園地のような施設もあってとても人気があるエリアになってます。
次にフランドル料理について紹介します。私の大好物はやっぱり“Carbonnade flamande”です。見た目はブルゴーニュ地方の“Bœuf bourguignon”に似ていますが、違いはダークビールで煮込んでいる点です。少しビールの甘味を感じることができるので、個人的には赤ワインの酸味より好きです。いろんな料理にフライドポテトがついてくるのも、私のお気に入りポイントです。その他にも“Welsh”というチェダーチーズに浸ったトーストの料理もあります。これにもポテトが付いてきますよ。
最後にヨーロッパ最大級のフリーマーケット祭りについて紹介します。リールでは毎年9月の第一週末に“Braderie de Lille”が開催されます。昨年は二日間で約250万人もの来場客があったようです。このお祭りではムール貝“Moules-frites”とフライドポテトが大量に消費され、食文化の面でも重要視されているイベントです。私も去年友人と参加しました。この週末はみんな夜通し飲んで、踊って、語って、ムール貝を食べて楽しんでいました。渡仏直後の大イベントで落ち着かない時期だと思いますが、ぜひ体験してほしいイベントです!日本ではあまり見られないほど大規模で町全体がその期間はより活気づき、全員全力で楽しんでいる雰囲気がとても好きでした。今年も参加したいくらいです。
いつもより少し長くなりましたが、ここに来る前は何もしらなかった街ですが、お世話になった今では魅力がたくさんあって、皆さんに共有したいことがたくさんあります。なれない土地での暮らしに初めは混乱しましたが、いまではいい思い出だと思います。リールは過ごしやすい気候で人も温かいです、ぜひUniversité Catholique de Lilleへの留学を前向きに考えていただきたいです。ありがとうございました。
テーマ2~この留学経験を今後どのように活かすか~
第一に、卒業制作としてフランスの絵本の翻訳を行う予定です。また、将来の仕事もフランス語にかかわるものができたらいいと考えています。フランスに留学中、たくさんの友人にフランスに関する歴史、街や村の観光案内などをしてもらいました。私も同じことを日本が大好きな友人たちにしてあげたいと考えています。今年の8月に私の地元周辺を観光しに来てくれる友人たちがいるので、たくさんのおもてなしをできるよう、地元の歴史や観光地を少し勉強したいと思います。
また、私がこの大学に留学するうえで参考にした資料がとても少なく、それも留学前の大きな不安要素でした。仕方ないのですが、私の一代前にこの大学に留学された方が、もう卒業されていたので、直接会って質問したりできなかったことも関係しています。私がとても時間を費やしたのは、ビザ申請、住宅決めと提出資料、住宅保険、協定校への提出資料などです。これらはグローバルセンターの方々より、実際に経験した私たち留学生の方がより具体的で的確なアドバイスができると思います。
最後に、私にとってフランス語の第一印象は「かっこいい」という本当に単純なものでした。ですが今では、「フランス語で留学がしたい」という強い意志が芽生えて、それを実現させることができました。留学という選択は今までの人生の中で一番大きな選択で、自分の挑戦心、そして達成した自信など、様々な感情と実感を得ました。
まずは、この留学を私よりも不安があったのにもかかわらず、私の挑戦を尊重してくれ、ずっと応援、支えてくれた両親に感謝します。本当にありがとうございます。また、私の興味、関心を留学することまで、そしてこれからの将来でも使おうと思いたいくらいまで引き出してくれた先生方、留学中の出会いに感謝しています。