この1年を振り返って
悩んだり、耐え忍ぶことの多い一年でした。そう書くと、辛いだけの一年のように思われますが、楽しい事が全くなかったわけではありません。慣れ親しんだ文化圏から離れて違う文化圏に身を置く事によって、自分を深く分析することもできました。慣れ親しんだものに囲まれて生活すると見え辛かった部分も見えた気がします。
また旅行先ではなく、居住地としてドイツを見る事が出来て良かったです。ノイシュヴァンシュタイン城やローテンブルクだけがドイツではありません。国や習慣というものはその土地の歴史に根付いており、それは地理条件や気候なども大きな要因となっています。気候、季節の移ろいを感じるには長期間滞在するのが一番です。在独外国人として、この国の方法に添って自分の日常を営むことで感じられる事がありました。それはドイツへの理解が深まると共に、自国日本についても同様に深く考える事ができたと思います。
ドイツ語は渡航以前より上達はしましたが、十分とは言えません。欲を言えば、大学で学科の授業に参加しても問題ない程度になってみたかったです。それは、また別の機会があれば頑張ってみようと思います。
慣れない環境で、そこに対応する為に苦労しました。苦労すればする程、愛着がわくもので、この留学でまたさらにドイツが好きになりました。
帰国後どう留学体験を生かすつもりなのか
違う文化圏からの人間は、一般に社会にとって少数的存在で、社会への適応に苦労を要します。自分の生活スタイルを押し通すと社会とのズレが生じ、トラブルが起こる場合があります。しかし一方で無理に完全な適応を目指せば、生活に自分の主体性を喪失し精神を消耗またはフラストレーションを感じてしまう事も考えられます。
例えばドイツ社会で問題なく生活するにはこの国の多数派言語であるドイツ語ができるに越したことはありません。しかし私は日本人であり日本語話者です。それでは私はこの社会において不適合者として弾き飛ばされるべきなのでしょうか。
ここで広義的なストレングスモデルによるエンパワメントでは私個人のできる事を利用、また強化することによって、社会との関わりをより円滑化していく事ができます。幸い私は第二言語として英語が少し話せました。それによって私は他者との意思疎通を可能にし、社会に対応していきます。因みに、私に欠如しているドイツ語の能力を語学学校等で向上させ、ドイツ社会での活動を円滑にする方法は医療モデルのアプローチ方法ととらえる事も可能です。主に障がい者への支援論に使われる言葉ですが、生活に関する普遍的なキーワードとして認識することが可能だと分かります。さらにこれへの対応には特別な方法を用いず、時間でもって応えるという事も可能です。
この留学生活では私がニーズの当事者でした。生活の支援アプローチ理論は特定の人間に対し活用されるものだと思われますが、生活は人間だれしもが営むものです。そしてそこで生じるニーズへのアプローチの方法とは単一ではなく、多様な方法があると分かります。
この認識は私にとって今後の大学での学習、将来においても影響してくることでしょう。