Center for the Promotion of Global Education

グローバル教育推進センター交換留学マンスリーレポート

デュースブルグエッセン大学
2014年5月号 法学部 A.T

環境について

1、寮の環境について

EssenにあるSommerburgstraßeという寮に住んでいます。この寮の最大の利点は留学中あらゆる場面で利用するEssen中央駅へ向かう交通アクセスの環境が非常に優れているということです。

SommerburgstraßeはEssen中央駅からU-babn(地下鉄)で15分ほど乗って終点のMargarethenhöhe駅を降りた目の前に所在しています。日中の間、Margarethenhöhe駅からの電車は約10分おきに出ているため、気軽にEssen中央駅へ出ることが出来ます。地下鉄の他にもEssen中央駅などを往復するバスも走っており、地下鉄は24:00頃を過ぎると05:00頃まで動きませんがバスは夜通し走っているので、もし地下鉄の終電を逃してしまってもバスに乗って寮の傍にあるバス停まで帰宅することも出来ます。

また寮から歩いて3分ほどで酒屋やパン屋があります。歩いてすぐに行ける距離にあることは便利ですが、日曜日になるとこれらは閉まってしまいます。更に他の店に比べて特別安いという訳でもありません。他の寮の近所にはスーパーマーケットがあるようですが、Sommerburgstraßeの近所には歩いて行ける距離にスーパーマーケットはないため、食料品や日用品を買いに行く際はEssen中央駅へ出る必要があります。寮内ではシャワーと台所とトイレを5人共同で使い、これらはそれぞれの部屋から独立した場所にあります。他の寮(Meistersinger)は部屋を挟んだドアの向こう側に台所などがあるため隣人と交流をする環境が比較的多いようですが、Sommerburgstraßeはドアを挟んだ向こう側が30mほどの長い廊下になっており、ちょうど日本のアパートのような部屋割りの構成になっています。従って他の寮と比べて隣人との交流の機会は意識的に行わない限りあまりありません。言い方を変えるとプライベートがほどよく保たれているため、隣人へ干渉しにいくかどうかは本人の意志に依るところであると言えます。特に私の場合では、誰かと台所を使うタイミングが偶然一致した時にお互い世間話をしながら台所で料理をする、という場合にのみ彼らと交流をします。

部屋の広さは六畳一間くらいですが、他の寮(Meistersinger)をはじめとするところは、それよりもう少し広いところもあるようです。また比較的冷蔵庫が小さいので食料品の保存をそれほど沢山することが出来ません。特に冷凍庫が小さく、適当な表現が思いつかないのですが、ちょうどアイスの「ガリガリ君」を5本ほど入れると一杯になってしまうほどの大きさです。些細なことではありますが食料品を冷凍保存できる量が非常に限られているため、料理の作り置きが出来ないということに時折不便を感じることもあります。しかしながらこの寮の利点である抜群に優れた交通環境は捨てがたくもあり、実際人気の寮のようです。渡独前の寮の申し込みの際にEssenにある Auf der Union という寮を希望していましたが、希望が上手く通らずSommerburgstraßeになりました。最初は希望の寮でないことに不満でしたが、今ではこの寮も悪くないと思っています。

2、大学周辺の環境について

留学生の授業は比較的Essenキャンパスで行われるということを以前龍谷大学からDuisburg-Essen大学へ留学した何人かの先輩から聞いており、また日本人留学生の多くはEssenに住んでいるという情報もあったため、それらを参考にしてあまり深く考えず盲信的にEssenにある寮を選びました。しかし蓋を開けると今期はDuisburgキャンパスのみで授業があり、前述した寮の最寄り駅のMargarethenhöhe駅から片道1時間ほどかけて毎日通学しています。授業が開始した4月頃は寮をDuisburgにしなかったことを少し後悔していましたが、往復2時間の通学時間を余すことなく全て使って独単語や英単語をみっちり勉強できる時間として充てており、土日に大学の図書館へ勉強しに行く際も敢えてEssenキャンパスでなくDuisburgキャンパスへ出向いています。今では特に通学を苦に感じることはなく、寧ろ時間の有効活用を実現させていることに勉強の充実を感じています。

またEssenで特別留学生の授業が多いという訳でもないようで、日本人留学生の友達も授業の度にDuisburgやEssenをあちこち移動しています。Duisburgに住んでいる日本人留学生もEssenに住んでいる日本人留学生と同じほどの数です。以前龍谷大学からこちらへ留学をしたある先輩のレポートを参照した限りでは、DuisburgではEssenに比べてVISAの申請が複雑であったりアジア人が少ないため差別を受けたりすることが多いなどといった情報がありましたが、Duisburgに住んでいる友人の話を聞くところ、今はそのような不便な状況を感じていないと言っていました。従って現在の環境に於いて特にEssenの寮のみに住むことばかりを意識する必要はないようです。

どちらに住むのが良いかは一概に言えませんが、端的にまとめるとEssenの利点はDuisburgより街が大きいので様々な施設があり生活をする上で比較的便利であることで、Duisburgの利点はEssenキャンパスにはない東アジア研究科が設置されているDuisburgキャンパスに近いということがあります。悩むところではありますが私としては融通の利くEssenの便利な生活環境を快適に感じているので、やはりEssenを勧めます。

住居環境については、住めば都という程度の差だと思います。

 

 

自由テーマ

・語学力向上のプロセスについて

私は3月1日にドイツへ到着したため、5月の終了を以て滞独生活は3ヶ月を過ぎ、6月から4ヶ月目を迎えます。

俗に語学の上達の変化は3ヶ月目以降からと言われているようですが、そのことを最近まであまりあてにせず、ただの迷信であると思っていました。しかしやはりと言いますか、この格言通り5月を終えた時点で、私自身も少しずつではありますが自分のドイツ語能力に変化を感じています。というよりも自分のドイツ語はある程度正しく伝わるのだという自信がついてきた、という方が正しいかも知れません。

その自信というのは、会話をする際に自分の思惑を面倒に感じても諦めずしっかり最後まで相手に伝えきり、それを相手がしっかり理解したという反応を示してもらって自分のドイツ語が確かに正しかったという結果を踏むことでのみ得られるもので、それらを少しずつ積み重ねていくことで自分の語学力に自信がつき臆せず発言できるようになり、結果として確かな語学力の向上に繋がる、というものです。そして所謂「Speaking」と呼ばれる能力はこのようなプロセスを経ていくことで効率の良い上達をしていくのだという実感を得ました。

渡独直後は会話慣れしていなかったので短くて簡単な文章を言うことさえも「あー」や「えー」と言いながら、頭の中をフル稼働させて知っている単語を必死になって探しだす、ないなら他の表現を探し出す、という間延びしながらのコミュニケーションで、流暢に喋るドイツ語話者との会話の際に大きな引けを取り、自分の不甲斐なさに惨めな気持ちになることが多く、恥ずかしく辛い気持ちになる日々が続きました。極め付けには前号のレポートでも書きました入寮の交渉の際、担当のドイツ人に明日が入寮日なので入寮したいという旨を力の限り説明するも、お前のドイツ語は何を言ってるか理解できないと「英語」で一蹴され、今まで自分自身正しいドイツ語で喋っていると思い込んでばかりいましたが、実はそうでなかったという現実を突きつけられたことや、相手に母語でない英語を喋らせたことによって私のために気を遣わせてしまったという罪悪感なども相まって、その言葉はかなり痛烈なものとして私の心に刺さり込みました。

このようにして、初っ端から暗雲立ち込める、幸先の悪い私の滞独生活が始まりました。

しかし日を追うにつれて毎日何かと頻繁にドイツ語を喋ることから、よく使う便利な構文や言い回し・単語は会話のトレーニングを経て得られた自信のもと機械的に発声できるように定着しはじめ、滞独2ヶ月目を終え始めた辺りから渡独直後に比べて会話に間を置く時間が減ってきたように感じ始めました。また私はドイツ語のリスニングの勉強を苦手意識から渡独以前に全く何もやらず避け続け渡独した結果、3ヶ月目終了時点まで正直相手が何を言っているのかほとんど分からず(今でもあまり分かりませんが)、適当にJa(ドイツ語のYes)と返事をした結果、お互いにいらない誤解を生んでしまい私のせいで不穏な空気を流してしまったということもあります。最近は渡独後に知ったDeutsche Welle というドイツ語版のPodcastを使って地道に練習を続けてきたことで、少しずつ拾える単語が増え始め、より正確な返答ができるようにもなってきた気もします。

と言ってもあくまで減ってきたというだけに過ぎず私のドイツ語力はまだまだ本当に不足でありますし、特に渡独前にリスニングの勉強を怠った結果、相変わらず聞き取り能力は大きなネックで悩みの種です。何度か言い直してもらったり英語で言い換えてもらうこともありますし、会話の間延びもまだ完全に直っていません。語彙力の不足も深刻です。少しは出来るようになったかなと喜んでいたら流暢にドイツ語を喋る人と出会い、ああまだまだだめだなと落ち込むということを繰り返す毎日です。

自分の思い描く語学力にいつ到達できるかはまだ分かりません。それでもたまにドイツ語で夢を見ることもあるほど1日の大半の時間を勉強に注ぐ最近の生活は、忙しくも充実したものであり、毎日心地よい疲労のもとで眠りに就くことが出来ています。1日を終える際に今日自分がどれほど進歩できたかという到達具合を意識しながら、且つ概ね理想と言える現在のペースを守り、この調子で勉強を続けていこうと思います。

 

5月にDüsseldorfで行われた、Japan-Tag(日本デー)の様子