まず、ノルウェーに住む人の高い英語力についてです。訪れた小さな水族館ではオーロラの紹介ムービーが上映されていました。現地の小学生らしき子供達も鑑賞していましたが音声は字幕なしの英語でした。ホテルでも、小さなアクセサリー屋のおばさんも難なく英語を話していました。なぜノルウェーのひとはこんなに英語が話せるのか疑問に思い少し調べてみると、その背景にはノルウェーの優れた英語教育にあることがわかりました。一般的な英語学習のカリキュラムとして、小学生1,2年から英語に触れあう授業があり、3年生からは本格的な英語の授業が始まります。ヨーロッパのいくつかの国に訪れましたが、観光地や首都は大体英語が通じ、郊外や田舎町に出るとほとんど英語を話さないひとが多い印象を受けました。しかし、トロムソと言う徒歩で一周できるほどの小さな町でこれほど英語が通じ、癖のない英語を話すのかと驚きました。
次に、お酒に関する厳しい規則について。ファミリーレストランのようなところでお酒を飲もうとすると円高にも関わらずビール一杯1000円弱かかりました。しかたなくお店で飲むのを諦め、スーパーで買ってホテルで飲むことにしました。しかし、スーパーに立ち寄るとアルコール類が配列されている棚に布が被せてあり、購入できないようになっていました。十分に下調べをせずに乗り込んだため、ノルウェーでは平日アルコール類の20時以降の販売は禁止されていることを知りませんでした。また休日や祝祭日、選挙の日などの販売は一切行っていないようです。北欧は物価が高いことが有名ですが、ノルウェーでは酒税が特に高く課せられており、酒税+消費税25%でアルコール類の価格が特に高くなっているようです。
そして、目的であったオーロラですが、滞在期間二晩ずっと曇っていて、観れる可能性も低く、ツアーも予約していなかったので、ほとんど諦めていました。しかし、諦めていたそのときに部分的に雲が晴れ、30分程度ですがぼんやりとオーロラが顔を出しました。街の灯りのせいではっきりと見ることはできませんでしたが、緑色のヴェールが空に二筋かかり、ゆらゆらと波打っていました。とても興奮して「すごい」と言う感想しか出てきませんでした。オーロラ観測のために北欧に訪れるのはこの先もうチャンスがないかもしれないので本当に観ることができてよかったです。
② 就職活動について
日本では大学に4年以上在籍すると周囲からネガティブな印象を持たれたり、就職活動に支障がでたりすることがあります。しかし、私の派遣先デュイスブルグ・エッセン大学に通う学生のなかには、10歳年の離れた同学年がいたり、編入や休学を繰り返す学生もごく普通にいます。一つの例として、友人のひとりは一度入学した大学を中退し、語学学校に通い、インターンを経験した後、新しくデュースブルグ・エッセン大学に入学し直した友人もいます。私の場合は、大学3回生になってようやく自分の専門分野についての理解が深まり、強い意志を持って学びたいと思えるテーマを見つけることができました。大学の勉強の面白みに気づき始めたときに、4回生の就職活動の時期になりました。日本では大学4回生の一年を就職活動の期間にあてるのが一般的であり、勉強の合間に就職活動を、むしろ就職活動をメインにしなければならないのがとてももどかしく感じました。そうは言っても、ドイツの学生が就職活動をしないわけではありません。デュイスブルグ・エッセン大学でも、日本の大学と同じように定期的に企業の担当者が大学に来られて学生に自社プレゼンをする機会があります。また、主要都市での合同説明会などもあります。その点では日本の就活と変わりないですが、企業の担当者と学生との距離感には大きな違いを感じました。私の伺った話によると、学校での説明会の場で企業の担当者と学生が連絡先を交換し、個々で面接の日取りを決めたりすることが多いようです。そして面接に受かれば3か月~1年程度インターンを経験し、そのまま就職するか、もう少し就職活動を続けるか、語学研修などほかのことを始めるかを決めます。日本のように一斉に就職活動が始まり、エントリーシートを提出し、試験や面接を何度も行うやり方はドイツにはありません。なので、就職活動を始める時期も働き始める時期もひとそれぞれです。そもそも就職活動と勉強を両立できるほどドイツの大学の授業も試験も甘くはないです。就職予備校と化している現代の日本の大学とは違い、学生が勉強に集中できる環境があるのはとても羨ましいです。
ドイツでは貧富の差が学歴に影響しないよう授業料が無料であり、勉強したいけれどお金がない学生にとっては魅力的な環境です。しかし、学生であることで得をする社会制度が多いので、その特権を手放したくないがために単位を取得せず大学に居つづける「大人」も多いです。