フィンランドでは、真冬の極寒の間屋外で過ごせる筈もなく、また屋内のレジャー施設もまずないため、余暇は人によっては困惑してしまうかも知れません。自分の場合は家屋で出来る趣味があるため時間を持て余す、という感覚にあまり心当たりはありません。また、友人同士で集まって自分たちでご飯を作り一緒に食べる、という小さなパーティはヨエンスーに来てから定期的に行っています。3月の今となっては恐らく日本と変わらない程に日照時間も延びたため陰鬱とした気分になることも少なくなりましたが、冬の間は部屋に籠って過ごすには良いコンディションとは言えないので、定期的に人に会うことをお勧めします。
その他、友人から聞く余暇の過ごし方をお伝えします。因みに現地の人たちは、余暇の間はへヴィメタルをがんがん流しながら読書したり、あるいはニッティング、いわゆる編み物が有名で、室内で出来る趣味として主流のようです。読書、勉強、睡眠、ネットサーフィンなど、何か黙々と打ち込めるものがあれば、きっとフィンランドの越冬に関してはあまり苦を感じることはないと思います。また、クラブやバーなどで踊り明かすことも選択肢として挙げられますが、自分の周りにはこの手の余暇の過ごし方をしている人間はおらず、自分も片手で数えられる程しか経験がないため、多くは語れません。
北欧のイメージとして、漠然とオーロラを思い浮かべる人も多いと思います。御多分に漏れず自分もそうで、先輩からも「見れた」と聞いていたので実際にフィンランドに来るまでは、来てしまえば易々と見れてしまうものだと考えていました。しかしそう簡単にはいかず、わざわざオーロラを見にラップランドへ赴く人もいる程、稀有なものだと現地の人間から聞いて想像とのギャップに愕然としました。
三月半ば頃、見られる可能性が上がった日に「灯りが全くない開けた場所」へ赴き、これまで見たことないような満点の星空を見ることが出来ましたが、目的のオーロラ鑑賞は不発に終わり、極寒の中手と足の感覚がなくなったまま帰宅という悔やまれる結果になりました。もう見る機会がなくなったのではないかと半ば諦めかけていましたが、その数日後、再びチャンスが訪れました。その日はある種特別だったようで、寮を出た時点で既に薄らとオーロラが空に現れていました。きっと開けた場所ではもっと鮮明に見る事が出来ると期待を胸に馳せ開けた湖へと向かったのですが、その瞬間ようやく念願のオーロラを目にする事ができました。
その時の光景はきっと生涯忘れることはないと思います。肉眼ではわからない赤光もカメラのレンズを通せば確かに確認する事ができ、その神秘的な現象も相まって非常に高ぶったのを覚えています。帰国する前に見られたことは、とても大きな財産です。