Center for the Promotion of Global Education

グローバル教育推進センター交換留学マンスリーレポート

カトヴィツェ経済大学
2023年1月号 国際学部 R.M

今回はポーランドに約4ヶ月生活してきて、危険に感じたことや、治安について記します。

ポーランドは東欧に位置する国ということもあって、訪れるまでは治安の悪さを懸念していました。加えて、ロシア侵攻を受けたウクライナに面しているために、何か影響を受けるかもしれないと覚悟していました。しかしながら、実際に生活してみると危険を感じることはほぼありません。もちろん日本より安全な場所であることはありませんが、24時以降も出歩くことに抵抗がない人が多いです。また、スリに遭遇することもなく、よっぽど平和ボケしていなければ問題なく過ごせる地域だと言えます。とはいえ、文化の違いから、クラブやお酒を楽しむ人が日本より多いので、金曜・土曜は明け方近くまで騒ぐ人の声がしばしば聞こえます。彼らに遭遇したくないのであれば、早めに帰宅することをお勧めします。ポーランド人は日本人と少し似ているところがあって、比較的おとなしく外で知らない人に突然話かけるような人柄ではない印象を受けました。酔っ払っていても、仲間内で盛り上がっているだけで、絡まれるようなことはほぼないと思います。またホームレスも多くありません。たまにお金やタバコを乞う人を見かけますが、大体言葉が通じないと諦めてくれるので、もし何か言われてもはっきりNoというかわからないふりをしたら大丈夫だと思います。4ヶ月間生活してみても2,3回ほどでした。続いて、ロシア・ウクライナ戦争の影響ですが、これはなんとも言えません。普段生活していて身の危険を感じることはありませんが、絶対的に安心・安全であるとは限りません。昨年11月にはポーランド領域にミサイルが着弾するなど、日本よりは確実に戦場に近い場所であるので、危機感は持っておいた方が良いと感じます。緊急事態となれば、大使館からお知らせが来ると思うので、こまめにメールをチェックしておくことが重要です。

 

次にロシア・ウクライナ戦争に近い地域で生活して私が感じたことを記したいと思います。この交換留学の内定が決まった時期は露によるウクライナ侵攻前であり、まさか戦争が始まるとは思っていなかったので、不安が大きかったです。一方で、正直、戦争に関して無頓着で知識もない自分にとっては、そこで生活することで、物価の高騰や、避難民などの状況から、戦争が起きたあとにその生活圏で何が起こるのかなど学べることがあるのではないかと考えていました。しかしながら、それはそんなに単純なことではありませんでした。私の寮にはウクライナ人の家族が生活しており、他の寮でもウクライナの人々を受け入れています。まだ小学生になったばかりくらいの子供もいて、彼らは、避難する必要がないことや、いつでも家族や友人と会える環境があった私のこれまでの当たり前を失っているんだと気づき心が痛くなりました。留学生にもウクライナ人は少なくないですが、家族と離れて暮らすことを余儀なくされ、自分達が育った町にいつ戻れるかもわからない状況で生きています。それは私が自らで選択して故郷を離れ家族と離れているのとは天と地の差があって、彼らの気持ちは想像もできませんでした。そして、自分が無知であったことを自覚しました。確かに学べることはあると思います。しかし、結局は外の人間であって、状況を理解することはできても、内側にいる彼らの人生に起こったこと、起こるかもしれないこと、これから実際に起こることを知ることはできません。また、バックグラウンドが全く異なる人々がこの状況に対してどのような考えを持っているかも理解するのは難しいと思いました。戦争という一つ括りとして考えていたものが、現場付近での生活を通して、一人一人の人生に多大な影響をもたらしていることがわかりました。一方で戦争は起こらないだろうという楽観的だった視点が変わるきっかけにはなりました。露ウクライナ以前も世界では紛争が起こっていたのに現実的に捉えることはありませんでした。知らないし興味がなかったからです。でも自分が絶対に当事者にならないなんてことはありません。それだけでなく、大事な人が危険に晒されるかもしれない状況は起こり得ます。それを自覚することで今後の考え方や帰国後のGSでの学びに影響をもたらせられたらここでの留学が意味のあるものになったと思います。