Center for the Promotion of Global Education

グローバル教育推進センター交換留学マンスリーレポート

リネウス大学
2014年6月号 社会学部 S.M

①この留学を振り返って

私が今回の留学を決意した最初の動機は「未練」です。思えば去年の夏休み、私は「大学で何かをやり切った」という達成感がどうしても自分の中で湧かず、このまま就職してしまっていいのだろうかと考えていました。私はそれ以前にもBIE留学を経験しており、その当時は一度留学すれば何かが変わるだろうという漠然とした気持ちだけを携えて望んでいました。しかし、そういったあいまいな志では到底その留学生活にも満足できず、もう一度チャンスがあれば留学したいという未練が帰国後ずっと私の頭の片隅にありました。そして巡ってきたラストチャンス。私は就職を望んでいた両親を説得してこの留学を選びました。交換留学生に選ばれるまでは決して簡単な道のりではなかったけれど、この留学をしっかり終えることができて私の未練もほとんど解消されたように思います。やりきったという達成感と本当にこれで留学生活が終わりだなというある種の虚無感のようなものが今自分の中に渦巻いています。

スウェーデン留学中にはたくさんの貴重な経験ができました。その中でも毎年一度ほぼすべての日本人留学生が運営に当たるJapanese Dinner Partyというイベントは非常に価値のある体験でした。おおよそ300人のゲストを迎えるというこの大きな催しを日本人皆で協力し、約2カ月という長い準備期間を経て成功させたという自信は私の留学生活の中でも大きな役割を果たしました。勉強面では、他の国の学生たちと共に学ぶということは常に新しい発見の連続でした。文化の違いや価値観の違いの発見はもちろんですが、もうひとつ日本人を含めたアジア人がマイノリティであるこの国に初めて来てわかったことがあります。それは適応力と自覚です。日本とヨーロッパはとても離れており、生活習慣や国民性の違いは顕著に見られます。そういった状況でいかに自分の身をその環境におけるかということの重要性に気付きました。例えばその最も大きな障害は食に関することでしょう。もちろん自分のストレスには気を配らなければいけませんが、「郷に入っては郷に従え」という言葉もあるように、適応しようとする姿勢がその土地で生活するのに大切なことの1つであると学びました。しかし、自分1人だけではすぐに限界が来てしまいます。信頼できる友達の存在もその土地で暮らすための重要な要素の1つです。そしてもう一つは自分が日本人であるという自覚です。日本にいると海外から来た人たちに外国人という言葉を使いますが、スウェーデンに来たら自分が外国人になります。普段、私たちが日本で生活しているときに外国人と直接触れ合うといった機会はあまり多くなく、特に彼らに対して意識はしていないと思います。実際、私も日常生活で彼らに対して意識を向けたことはほとんどありませんでした。しかし、この留学を通じて自分は日本人なのだという自覚をすると同時に、普段は意識したことがなかった外国人というカテゴリーに対して意識するようになりました。例えば、他の留学生と話していて、日本のこれについて説明してほしいとなった時に、即座にこたえられるかということです。日本にずっと住んでいる限り、日本の国や文化、慣習などについてそこまで説明を求められる機会はないでしょう。しかし、もしあなたが外国人と会う機会があれば、おそらくその人の国について何か質問するでしょう。それと同じで、内側の人たちは外から来た人たちに対して強い関心が湧くでしょう。私はスウェーデンでそういった状況に直面して初めて、私は日本人であることを自覚しました。そして日本についてもっと知るべきだと思いました。日本という国に生まれたことを誇りに思うようになりました。私は今まで本当に小さな物差しで世界を見ていました。日本人も世界という物差しを通して見れば、ほんのその一部でしかないのだと気づかされました。特に留学の後半はカルマルへ学び舎を移し、より少ない日本人環境下でコースに日本人が私1人だけという状況も多々ありました。そういった状況下の中で、海外に身を置いて生活してきた自分が日本の外ではほんの1外国人に過ぎないのだと思い知らされました。言い換えれば、私は日本代表としてここに学びに来ている。そしてその経験は私を何か留学の本質のような部分に触れさせたような気がします。

 

 

②帰国後どう留学経験を生かす予定か

留学を通じてたくさんの友達や知り合いが世界中にできました。この縁は一生忘れることのできない宝物の一つです。初めてのヨーロッパでわからないことは多々ありました。しかし、そんな私を数え切れないほど多くの人たちが助けてくれました。今度は私が困っている誰かがいたら助けてあげる番です。人と人のつながりは時に本当にすごいパワーになると身をもって知ることができました。日本語で絆という言葉がありますが、人との縁は信じられないほどの可能性を秘めているということを忘れずに今後の人生に活かしていきたいと思います。