Center for the Promotion of Global Education

グローバル教育推進センター交換留学マンスリーレポート

モスクワ大学
2012年10月号 文学部 S.T

この一年を振り返って

私がモスクワを訪れて、もうすぐ9ヶ月が過ぎようとしています。 留学生活も残り1ヶ月を切り最近よく焦燥感を感じることがあります。またそれと同時に今までの留学生活を顧みることも多くなってきました。そこで今回は、モスクワでの一年間について振り返ってみたいと思います。

私がモスクワに来たのは、奇しくも雪荒ぶ2月の初旬でした。前日からの長時間のフライトに疲れてはいましたが、初めて見たモスクワ大学の威風堂々たる姿は未だに記憶に新しいです。そこからの生活はまさに光陰矢の如く季節が過ぎ去っていきました。その間にロシアという国を様々な角度からより深く知ることができました。そして今まで近くて遠い隣国だったロシアが、自分の中では愛すべき隣国に変わっていることに最近気づきました。また、ロシア人の友人以外にも様々な外国の友人達と触れ合うことができ、自分の中のアイデンティティーが揺さぶられるような経験も数多くすることができました。 (10月に旅行したヴォルゴグラードにて)

 

帰国後留学生活をどういかすか

    (10月に旅行したヴォルゴグラードにて)

私が今回の留学で得た様々な経験は計り知れません。語学の勉強は当然として、文化、生活、芸術等日本以外の国の異文化を1年間という長期に渡り体験できたのは、自分にとってかけがえのないものになったのではないかと考えています。特にロシアというアジアとヨーロッパの境に位置する国の独特でエスニックな、文化に触れ合えてよかったと思っています。この経験は、帰国後に行う予定の就職活動でも絶対に役に立つのではないかと考えています。一方語学面では、留学以前に比べると確かな違いを自分でも感じますが、まだまだ一つのツールとして使えるレベルに達していないのが現状です。しかしながら、これからロシア語を勉強するにあたってこの留学が確かな足がかりになったと感じています。またこの留学で語学において基礎がいかに大事かを改めて気付かされたので、帰国後もロシア語を基礎から応用までコンスタントに勉強していこうと考えています。そして今回私は、龍谷大学とモスクワ大学アジア・アフリカ学院が結ぶ交換留学協定によって派遣され様々な体験をさせて頂いたので、帰国後は私を派遣してくれた母校や国際部の関係者の皆様に対して何らかの形で恩返しできたらと考えています。

 

自由テーマ

この留学を通じて私は、様々な人や物と遭遇し、色々な出来事を通じて成長できたと感じています。最後にロシアに来たからこそできたこと、感じたことを紹介してみたいと思います。

まず最初に、英語がほとんど通じないというところです。もちろん教師や一部の観光業者には通じますが、役所や銀行、駅の窓口等日本以上に英語が通じないでしょう。そのため、最初はほぼ手探りでの移動、観光、手続きを楽しむことができます。そして次に気温の低さと、人の冷たさに触れることができます。駅の窓口担当者に英語で話しかけても、十中八九無視されるでしょう。また、大学の手続きでもロシア語での説明を理解しないと罵倒されるでしょう。そして寮内から一歩出ると冬将軍の寒さに打ち負かされます。
しかしながらそのような一見冷たい人々も根気よく接してみると、詳しく学生定期申請の手続きについて説明をしてくれたり、目的地までの道を教えてくれたりロシア人は実は本当に親切な人が多いのです。先日仲の良いロシア人と会話している時に、「日本人はやっぱりちょっと変だけど本当に優しくて親切」という評価をもらいました。異文化圏の人間と接すると最初は自分との違いに戸惑いがちです。しかし相手の話をよく聞いて、相手の本質を見ることによりこのロシア人のように相手を、ひいては異文化圏の人間を理解することができます。そして私も、このロシア人が話してくれた日本人観と同じようなつまりちょっと不思議で非常に親切というロシア人観を今では持っています。

また、寒い冬もたくさんの友人達と過ごすことにより楽しいものになるでしょう。このように留学生活とは、自分の気持ち次第で本当に多くの経験をすることができます。そのようなポジティブシンキングな考えを教えてくれたロシアの国にそしてそこで暮らす人達に感謝し、これからは願わくば日本とこの近くて遠い隣国との心の距離を数cmでも近づけていければと今私は考えています。最後に私はロシアへの留学を行い、本当に良かったと思っています。そのようななかこの留学では様々な方面から両親をはじめ、龍谷大学やモスクワ大学の関係者の皆様にご指導を賜りました。ここに感謝の意を表します。

(モスクワから900km南の都市ヴォルゴグラードの港にて)