Center for the Promotion of Global Education

グローバル教育推進センター交換留学マンスリーレポート

モスクワ大学
2012年7-8月号 文学部 M.S

夏休みのこと

ロシアでの夏休みは7月の最初の週から始まりました。7月は夏の集中講座を受けた為、殆ど出掛けたりしなかったと思います。自分の認識が甘かったという事もありますが講座の日程は自分にとってかなりハードなもので、毎日講座の為に必死でなんとか予習をするという状態でした。元々基礎が全く出来ていない状態で留学に臨んでしまったので講座と並行してやり直そうとしていたテキストも結局手が付けられず、講座は取らない方が良かったと後悔もしました。

本来は8月の頭まで授業がありましたが、自分は7月末の28日からバルト三国で行われた経済研修ツアーに申し込んでいた為、最後の数回は理由を話してお休みさせてもらいました。そのツアーはInternational Baltic Summer School (IBSS)というプログラムで、エストニア・ラトビア・リトアニアのバルト三国を巡りながら経済についての講義を受けたり、現地の観光等を通じて他国の学生との交流を図る事を目的としているそうです。自分はバルト三国に訪れてみたいけれど個人旅行では恐らく行く事は出来ないだろうと思っていた為、日程の決まっているプログラムならば多少安心して行けるかも知れないと思い参加する事にしました。幸いな事に一緒に参加する日本人学生が見つかり、協力して手続きや宿の手配を行う事ができました。

自分の夏休み後半は、7月28日から8月11日までIBSSに参加し、研修終了の12日にカリーニングラードへ移動し15日まで観光。19日に再びモスクワを発ち27日までドイツを旅行して28日早朝にモスクワに戻って来るという強行スケジュールだったので、全て終えてモスクワに帰って来た時にはかなり疲れていました。これほど沢山移動した夏休みは今までに経験した事がありません。そもそも自分は海外生活も今回のロシア留学が初めてで、それまでに海外へ出たのは高校の修学旅行で台湾へ訪れた事があるだけでした。IBSSへの参加とその後のカリーニングラード観光は、ロシアへ留学していなければ参加しようと思う事も、訪れる事も無かったと思います。様々な国の学生達と触れ合い、拙いながらも自分の意見を伝えようと努力し意思の疎通を図れたのはとても貴重な経験になりました。

しかし自分にとって最も大きかった出来事は、ドイツへ旅行した事だと思います。龍谷大学で二年間ドイツ語を専攻し、またドイツ語のプロジェクトに関わらせて頂いたご縁もあってお世話になった教授に「夏休みにドイツで会いませんか」と言って頂き、お言葉に甘えさせて頂く形で決めた旅行でした。ただし教授と会える日は正味8日間の旅程のうち一日だけで、ほぼ一人旅と言って差し支えないであろう旅行となりました。その前のIBSSは研修旅行であり、自分以外の日本人の参加者やコーディネーターが居て自分で対応出来ないと思った所はすぐに尋ねる事ができましたが、今回は勿論出国から帰国まで全てを自分一人で行わなければなりませんでした。自分に自信が持てず誰かの許可が無ければ動く事を躊躇ってしまう自分にはかなり荷が重いかも知れないと、計画を立てた当初は思っていました。

けれどIBSSに参加した事で少し自信を持つ事ができ、両親に頼んで購入してもらったドイツのガイドブックが届かず手元に案内が殆ど無いという状況ながらもインターネットを使って情報を集め観光の日程を決めて、出来る限りの準備をして現地に向かいました。到着してからは都市を移動する度に現地のツーリストインフォメーションでパンフレットを手に入れ、途中で道に迷ったりバスが無かったり予定していた電車を目の前で見送ってしまったりしながらもほぼ予定通りに観光をして無事に戻って来る事ができました。

自分は今まで全く自分に自信が持てず委縮してばかりでしたが、今回事前に日本語のガイドブックを用意できず、現地での情報と自分の足と行動力、そして勘だけを頼りにしながらも自分の行きたい場所へ行き、自分の目的だけを見てその為に行動を選択し、失敗しても落ち込まずすぐに代替方法を考え、最後まで旅を成し遂げられた事は大きな自信になりました。また、今まで学習して来た言語を更に伸ばしたいと強く感じました。夏休みにロシア国内で出来た事は殆どありませんでしたが、ロシアに来なければ決断しなかった、経験できなかっただろう事を沢山体験できた事は自分の中で大きな財産になりました。ロシアでの留学生活はあと3カ月を切ってしまいましたが、今まで以上に頑張って勉強し、今まで行けなかった場所やできかった事に積極的に挑戦して行きたいと思っています。