治安、危機を感じたこと、トラブルについて
バレンシアで約4ヶ月過ごしていますが、未だに危険を感じたことはありません。しかし、前の号でも書いた通り注意は必要です。挙動がおかしい人がいたらすぐ離れる。夜くらい道を一人で歩かない。財布はきちんと管理する。きちんと注意していれば危険な目に遭うことはないと思います。
差別や偏見について
前の号でしょうもない事を書いてしまい母に怒られそうなので今回は真面目な事を語りたいと思います。
スペインは残念ながらお世辞にも差別が少ない国とは言えません。私自身は差別を受けたことがありません。強いて言うなら初対面の際、中国人と決めつけられるぐらいです。
しかし、モッロッコ系、ヒターノに対する差別は顕著に見られます。
モロッコ系の友達と街中を歩いていた際、ある男性が友達対して、差別的な発言を発しました。彼女は怒るのかと思いました。しかし、慣れているような雰囲気で何も反応せずその場を素通りしました。その後、友達になぜモロッコ系の人に対して差別的思考を持つ人がいるのかと質問しました。
理由は大きく2つあると説明してくれました。1つ目は多くのモッロコ人が不正入国をしているという理由です。またその多くの移民は働かず、薬物売買や窃盗を生業としています。2つ目の理由は彼らの多くはイスラム教徒を信仰しており、カトリック教徒が大多数を占めるスペインとは文化的に交わることが難しいからです。このような理由からモッロコ人に対する差別、偏見が蔓延していると教えてくれました。
またモロッコ系と同じように差別対象になっているのがヒターノです。ヒターノは差別用語のため以後ロマと書かせてもらいます。ロマとはヨーロッパを拠点に生活し、定住しない人たちの事を指します。彼らのルーツは西インドにあり、戦禍を逃れるためヨーロッパ方面まで逃げてきたという説が一般的です。1200年ごろからヨーロッパに現れたと言われています。肌は褐色で色鮮やかな服を着ています。興味深いことにスペインを代表する舞踏のフラメンコはロマの踊りに由来しています。
これほどスペインに影響を与えている彼らがなぜ、差別の対象になるのか。モロッコ系の人たちと理由が似ている部分があります。まず彼らは、自分たちのコミュニティーを大事にします。結婚をする際もロマ同士で結婚します。またロマ同士で同じ地域に住みます。そのためスペイン人コミュニティーと関わることはありません。また遊牧民族であるため、出生届も出しません。そのため保険を受け取ることができない、さらに、学校にも通うことができないため多くのロマが貧困に陥っています。また彼らは物乞いや、窃盗をして生計を立てています。そして、税金も収めないため、多くの人に忌み嫌われる存在になっています。
このロマに対する考えは人によって大きく異なると思います。
ある友達は社会的統合が必要だと教えてくれました。ロマの人達はロマ同士で住むので他の生き方がわからず、親や周りに習って犯罪を犯してしまう。その生き方しか見てこないためそれが普通だと錯覚してしまうと教えてくれました。そのためロマの人たちは悪くなく、ロマの住む環境が悪いのだと教えてくれました。
一方ドイツ人の友達にロマの人たちをどう思うか聞いたところ、納税もせず、犯罪ばかり犯すのであまりいい印象を持たないと言っていました。どちらかと言うと差別とまでは行かないがあまりいい印象がないと語っていました。
このような差別問題はあまり日本で見られないので、とても関心があります。と同時に今まで見てきたロマに対する印象が一変しました。今の僕の状況では彼らに何もしてあげることはできません。しかし、考えることはできます。留学を終える頃にはこ
の差別に対する僕なりの考えが構築できればと思っています。