グローバル教育推進センター交換留学マンスリーレポート

米国仏教大学院
夏休み号 実践真宗学 R.N

夏休みのこと  

私は、北米開教区における浄土真宗の寺院運営や寺院活動に積極的に参加し、北米開教区の現状を調査しました。留学を終えるまでに、北米開教区の調査を引き続き行い、浄土真宗がどのように伝播されているのかを窺い、最終的に、その運営体制や活動を日本の寺院運営・活動に活かしていきたいと考えています。 今回は、このマンスリーレポートを機会にして、北米開教区の僧侶(ミニスター)役割・仕事、そして、ミニスターになるまでのプロセスについて大まかにまとめたいと思います。

≪ミニスターの役割・仕事≫

ミニスターとは、西本願寺の中で資格を与えられた僧侶のことで、主な役割は、浄土真宗の教えを伝道すること、そして寺院やサンガ(寺院に集う人々)のニーズに応えることです。つまり、海外で活躍する浄土真宗の僧侶のことを指します。ミニスターというものは、独特で、挑戦的で、やりがいのある専門職です。ミニスターは様々な職務をこなさなければならない上に、寺院の僧侶としてうまく務められるように多種多様な役割を想定しなければなりません。その多くの役割の中で、卓越したものは以下の事項であります。

• Teacher(師・先生):ミニスターは仏法に関しての師であり、法話や勉強会を通して浄土真宗の教えを表現・伝達できなければならない。ある意味、人々と関係し合い、人々の生活と共鳴し合うことが求められる。将来この役割は特に、過去より極めて重要な役割になっていく。ミニスターは偽りのない心からの法話を御取次するだけでなく、勉強会のクラス(仏教概論から原典に依る真宗研究まで)も行うことができなければならない。それは体系的で示唆に富むものとして組織されるクラスである。

 • Ritualist(法務員):ミニスターは、葬儀から結婚式まで様々な法要を威厳を保ち意味あるしきたりの中で行わなければならない。ミニスターは内陣や、荘厳を、大切に管理しなければならない。

 • Administrator(管理・経営者):ミニスターは寺院の運営や活動に貢献しなければならないとともに、開教師補、寺院の助手、オフィススタッフ、組織、人々を監督しなければならない。

• Counselor(カウンセラー):ミニスターはカウンセラーとして悲歎している者や近親を亡くした者へ寄り添っていかなければならない。

 • Community involvement(コミュニティとの関わり):ミニスターは単純に寺院のみで働くのではなく、積極的にあらゆる方法でコミュニティに関わっていかねばならない。・ Outreach(寺院の外での活動):ミニスターは継続的に外部へ浄土真宗を伝えなければならない。それは、民族的背景や社会的経済的背景を超え、学校・教会で講演を行ったり、求められれば大学で講義を持てるよう努めなければならない。  21世紀のサンガは、20世紀の民族的背景(日系人中心)が強かった時代に比べて、より多様で異なったものになります。これから様々な人種や社会的・経済的背景を持つ人々が出てきます。彼らは異なった教育レベルで色々な専門職で働きます。家族は多数の人種で構成され、宗派を超えた結婚もあります。これからのミニスターは、人々と接する技術と、あらゆる背景を持つ人々との関わりが求められます。ミニスターは一つのグループに偏って他のグループを除外してはいけません。このように、多様な人々が寺院で調和することは、ミニスターの将来の課題であります。 したがって、ミニスターは寺院・メンバーを引っ張る中でそういったビジョンを持つ必要があります。これからのミニスターは、これからの新しい発展のために開教区レベル・地域レベルで、創造的かつ革新的である必要があります。

 ≪ミニスターまでのプロセス≫  

BCAでは、そのような資質の高いミニスターを育てるために、学問形態・トレーニング形態がしっかり整われています。BCAのミニスターになるまでのプロセスは、ミニスターが効果的に人々のニーズに応えていくために、  ①学問的な教育  ②ミニスターになるためのトレーニング  ③実践的な経験を重要項目として位置づけています。 ①学問的な教育 BCAのミニスターを目指すものにとって、学問形態は、以下のようになります。 • Institute of Buddhist Studies- Berkeley, California. (米国仏教大学院) • Chu-o Bukkyo Gakuin(Chu-butsu)- Kyoto, Japan. (中央仏教学院) • Ryukoku University- Kyoto, Japan. (龍谷大学) • Gyoshinkyoko- Osaka, Japan. (行信教校) • Study at other universities. (他の大学で勉強) ⇒この中のどれか一つの学校で規定の講義を履修し、卒業することが必要です。 ②ミニスターになるためのトレーニング ミニスターになるためのトレーニング形態は以下のようになります。 • Minister’s Assistant Program(MAP)(ミニスターズアシスタントプログラム) • International Ministerial Orientation Program(IMOP)(アイモップ) ⇒MAPの対象は主にアメリカ人で、IMOPの対象は主に日本人です。なぜなら、日本人とアメリカ人では、勉強しなければいけない分野が少し異なるからです。日本から来たミニスターは、何より英語を熟達することが求められます。これからのアメリカのお寺に来る人々は、ブロークンイングリッシュな法話を聞くことが耐えられなくなっていくでしょう。したがって、日本で生まれ育った僧侶は出来る限り英語を流暢にする努力を惜しまないことが求められます。それと同様に、アメリカで生まれたミニスターは、仏教用語(出来れば日本語)に精通しなければいけませんし、全てではありませんが、多くの中国語や日本語の文献を読めるように努めなければいけません。浄土真宗の伝統を背負っているかぎり、ミニスターは親鸞聖人のオリジナルの文章を読み、御恩報謝できるようになるべきなのです。 ③実践的な経験 ①②の課程を修了した者は、一人前のミニスターになるためには、既存のどこかの寺院に入り、アシスタントとして約一年間働きます。寺院での実践的な経験を十分に積んでから、正式にミニスターとなり、一つの寺院を任されます。 以上がミニスターになるまでの過程です。 私が現在交換留学している大学院、IBSは、ミニスターになるための学問的な教育機関のひとつであります。生徒の中では、真剣にミニスターになろうとしている人もいれば、ミニスターになるわけではないけれども、純粋に宗教・仏教を学びにきているという人もいます。