ハワイに来てから、カルチャーショックは幾度となく感じてきました。カルチャーショックといえば悪いことを想像してしまうことが多いですが、もちろん良いものもたくさんありました。その良いものとして、ハワイにいる人々のフレンドリーさがあります。日本では、スーパーやレストランの店員は丁寧な接客であるほど良い、というような風潮がありますが、ハワイでは、フレンドリーであるほど良い店員であると思われているようです。実際にスーパーの会計やレストランで注文をとられる際に、淡々と仕事をこなされるよりも世間話をされるほうが嬉しく感じます。
また、思いやりのある行動を当たり前にされている点も良いカルチャーショックだと感じました。例えば、ドアを閉める際には後ろから来る人がいないか確認し、もし近くに人がいれば、その人が通るまでドアを開けたままにして待つ、ということが常識となっています。
さらにこの事に関連するものとして、「レディーファースト」文化もあげられます。日本にはあまり根づいていませんが、男性がドアをあける、女性を先に通す、エレベーターのボタンは男性が押す、などといった行動を、ハワイに住む男性は当たり前のようにしていることに驚きました。
これは良い面とも悪い面とも言えませんが、「チップ制度」には何度も悩まされました。特にレストランでは、もともとの値段から10%~20%以上を上乗せをしてお金を払うのが通常です。レストランの料金にはサービス料が含まれておらず、店員は低い基本給にプラスして、サービス料としてチップを貰っています。その為にチップ制度の存在でサービスの質が上がると考える人もいます。しかし、やはりレストランやタクシー、ホテル等で割合の変動のあるチップ制度は、チップ制度のない日本で生まれ育った自分にとって混乱を生み出すことが多くあります。
これらのカルチャーショックは、自分自身の価値観を改めて考え直すいい機会となっています。自分とは違う文化だといってふさぎ込むのではなく、開放的な考えをもって異文化と接することで、自分の成長にもつながるのではないかと思います。
ハワイに来て一番驚いたのは、カルチャーショックというよりも日本の文化が大変根付いていることです。歴史的にも日本とハワイには強い関係性があり、ハワイ文化には日本の文化から影響をうけたものが多くあります。食文化の面からみても、ハワイ料理としても有名な「スパムむすび」は日本の「おむすび」に由来しています。また、「シェイブアイス」も日本の「かき氷」にとても似通っています。これらの共通した文化を見てみると、やはり日本からの移民がハワイの文化に多大な影響をもたらしていることを改めて感じさせられます。
また、日本語がそのまま英語として伝わることもハワイでは多くあります。例えば、ベントー、ショーユ、チキンカツやフリカケなど、数えたらきりがありません。レストランやショッピングモール、スーパーマーケットなど、道を歩いているだけで日本の文化が溢れていることをまざまざと感じさせられます。
これらの日本文化の影響は、移民だけではなく、日本人観光客の多さにも原因があると考えられます。ハワイへの観光客数は、アメリカ西部、東部につづき、日本は第3位です。ということは、アメリカ国外で考えると日本は第1位ということになります。その為、ハワイの言語表示は英語のつぎに日本語が来ることが多いです。米国本土ではたいていスペイン語や中国語が多いので驚いた、と友人も話していました。
先学期にはインターンシップの授業を受けていましたが、その授業で募集されるインターンシップ先の要項には、「日本語が堪能な者」という項目を目にすることも多々ありました。その為、ハワイでは日本語と英語の両方を話せる人は、就職に関してはとても有利といわれています。
今、ハワイは日本人にとってとても住みやすく、訪れやすい土地となっています。ハワイの伝統文化を大切にしながら日本の良い文化を取り入れることは、ハワイと日本、お互いにいい影響をもたらしていると考えられます。この留学生活を通じて得たハワイ文化の良い面を日本に帰ってから伝えていくことで、日本にもいい影響を与えられるようになりたいと思っています。