「カルチャーショックについて」
北京に来て9ヶ月目、今回はカルチャーショックについて書こうと思う。小さなカルチャーショックはたくさんあるが私が最も印象的だったものを一つ紹介しようと思う。それは、怒っているように見えるけれど怒っているわけではないということだ。中国に来て1、2ヶ月は頻繁にこれを感じていた。ある日、ネットで注文した荷物を受け取りに行った時、配達員のおじさんが私に荷物を受け渡した後大きな声で何やら話しかけてきた。その頃は中国語もほとんど聞き取れなかったので、その口調と様子で私は何か怒れられているのだと感じ心配になった。しかし、その人は実際には怒っているのではなく、むしろ私の大きな荷物を見て誰かに手伝ってもらうようにアドバイスをしてくれていた。怯える私に近づき、荷台付きの自転車を持っている人を呼び止めてくれた。そこまでしてくれているのにも関わらず始終真顔でいるその人を見て不思議だと感じた。日本では見知らぬ人を助ける時は「笑顔で丁寧に」というイメージがあったからだ。中国では、以前のレポートでも書いたことがあるが、見知らぬ人との距離が比較的近い。このことから、誰かを助けるときも例えば自分の家族を助けているような感覚に近いのではないかと私は考えている。自分が特別良いことをしているという感覚もあまりないし、ごく当たり前のことをしてるだけだという感覚なのではないだろうか。この配達員の人に限らずこのようなシュチュエーションは何度もあった。日本人の私にとってこの中国の「とりあえず助ける」精神は馴染みがなく驚いた。留学前は中国(北京)の人は気性が荒いと思っていた部分は少なからずあったが、実は「笑顔に丁寧に」よりも「助ける」という事実の方が重要だという文化なのである。よく見ると実際には日本よりも見知らぬ人同士が助け合う場面が多いのではないかと今では感じている。日本人の多くの人が以前の私と同じようなイメージを持っているとすれば、それは飛んだ勘違いということになるかもしれない。
「中国の伝統行事」
日中間共通の節句も多いが、日本ではあまり馴染みのない節句や伝統行事もある。今回はその中で印象に残っている春節と中秋節の2つを紹介する。
1つ目の春節とはいわゆる旧正月のことで、1月下旬から2月中旬にある。中国では新暦の1月1日ではなくこの春節にお祝いをするのが一般的だ。水餃子を食べたり一晩中爆竹や花火をあげて祝うのだが、実際に爆竹の音を聞いたり冬に上がる花火を見たときは日本とは全く違う正月の祝い方に驚いた。この時期、私はちょうどハルビンの旅行に行った帰り道だったのだが、寝台列車に乗りながらずっと聞こえてくる爆竹の音やそこかしこから上がる花火を見ていると日本とは全く違った文化を感じ本当に飽きなかった。日本では年越しは静かな気持ちで厳かに行われるイメージだが、中国では派手に賑やかに行われていることが新鮮でとても楽しい気分になった。
2つ目の中秋節は9月の下旬にあり、日本でもよく知られる中国の伝統的なお菓子である月餅(中国語ではユエピンと読む)を食べる。日本ではこの時期はお月見をしながら団子を食べる風習があるが、中国ではお月見をし満月の形をした月餅を食べることで家族などの円満を願う。この時期になるとたくさんの種類の月餅を至るところで見ることができる。日本ではあまり見ないホールケーキのように大きなものや、甘くない餡が入ったものもある。個人的に興味深かったのはナツメ餡と卵の黄身餡が入った月餅だ。ナツメ(デーツ)は中国ではお菓子以外の料理でも幅広く使われているが、独特な味が気に入っている。卵の黄身餡は名前を聞くと構えてしまうが、甘い場合はカスタードのような味、しょっぱい場合はおでんの卵の黄身に少し甘みを足したような甘じょっぱいといったような味でこれも楽しんで食べた。また10月1日からは国慶節(建国記念日)があり、この時期は国全体が大変盛り上がっているので、人は多いが中国に旅行に行くなら中国の文化と賑やかさが感じられ楽しいはずだ。
キャンバス内で売られていた大学のマークが入った月餅