Center for the Promotion of Global Education

グローバル教育推進センター交換留学マンスリーレポート

東フィンランド大学
2013年4月号 国際文化学部 C.K

―この一年を振り返って― 橋からの景色(3月)

4月末の今、凍っていた湖も積もっていた雪も全て溶け、フィンランド人はみんな「夏が来た!」と本気にも聞こえる冗談を言い合いながら、暖かな春の日差しを楽しんでいるように思えます。ヨエンスーの町で8ヶ月を過ごし、帰国まであと1ヶ月を切りました。春学期の授業も残すところ1教科のみとなり、留学生活の大半を終えつつある今、考える事を書きたいと思います。 一番思うことはやはり、わたしはフィンランドのこのヨエンスーへ留学に来られて本当によかったということです。実は自分が理想としていた留学生活とは全く違う部分も多くあり、自信を失くしたことや不安になったこともたくさんありました。暗く長い冬の始まりである11月の天気は私にとって本当に辛くて、もう経験したくないほどです。言葉の面でも壁にぶつかる事は多く、自分の英語の力の伸びなささや、他の留学生との差にはいつも劣等感を感じていました。また、このヨエンスーキャンパスに通う日本人は10人以上いて、日本人の友達とどう付き合うかという部分でも、戸惑った時期があったのは事実です。まだまだ色々なことがありましたが、こういった様々な壁にぶつかる度にそのことについて深く考えることができました。ヨエンスーに留学に来て一番強く感じる事は、日本との生活のゆとりの差です。わたしにとって日本での生活は、忙しいの一言で、深く物事を考えたり、色々な所を見て回って、自分自身の考えをしっかり知ることができていませんでした。ヨエンスーでの私の生活は、授業がない日々は正直暇でしかありませんでした。しかしそのおかげで旅に行くこともでき、新しい場所で新しい刺激を受け、その都度自分と向き合い、「考えるためだけの時間」を作ることができました。日本では考えられないある意味贅沢な生活を送った8ヶ月。残りの1ヶ月をどう過ごすか、よくよく考えて自分にとって悔いのない留学に仕上げたいと思っています。

 

―帰国後どう留学経験を生かす予定なのか―

私は社会に出て新しい環境に入れば、自然とこの経験が生きてくる、もしくは生かしたいと思うのではないか、と考えています。これから控える就職活動の場で、フィンランドという一見珍しくも思える国への留学経験を、うまくアピールできれば良いと思われるのかもしれませんが、私にとってフィンランドへの留学というのは経験の一つであり、人に魅せたい自分のアピールポイントではありません。なので、就職活動ではこの「留学」を大きく生かすつもりはありません。しかし、社会に出て、新しい事を始める時や、新しい壁が立ちはだかった時、この留学での経験がそのときの自分自身の助けになり、新しい人と出会った時、この留学経験をうまく話すことでもっと多くの人に異文化について知ってもらえたらと思います。異文化を知ることで日本の文化を知る、ということは本当によくあることです。私が語ったフィンランドでの経験によって、その人が、何か今までと違う視点からも物事を見るようになったならば、それだけでわたしの留学経験は生きている、と言えると思います。 最後に英語に関してですが、私にとってこの留学は、決して英語の力を伸ばす為ではありませんでした。なので、逆に言えばこの留学で習得した英語の力は、社会で生かすにはまだまだ値しないと思っています。勉強・経験の余地がまだまだあるので、日本に帰ってからはいろんな手段を使ってもっと意識的に英語を聞き、話せる機会を探したいと思っています。「英語」が世界で唯一通じる言葉だと認識されつつある今、英語で普通に会話できる人たちがたくさんいるフィンランドで生活をし、わたしは、日本は英語が通じない国の一つなのだなと痛感しました。そういった部分も含め、海外から見た「日本」についてもっと多くの人に知ってもらい、日本についての考えを意見し合えればと思います。

 

―自由テーマ:これからフィンランドへ留学したいみなさんへ―

わたしがフィンランドに来たいと思った理由は、本物のサンタクロースに会ってフィンランド語で喋りかけたいと思ったからです。それ以外の強い理由は特にありませんでした。たったそれだけの小さな理由、何をしに留学に行くんだと馬鹿にされそうな理由、だけれどわたしはこの理由をもってフィンランドに来ました。どんな理由であれ、本当に思うことであればフィンランド留学に行きたいという理由になりうると思います。わたしはその小さな理由で大きな世界を見ることができました。きっかけは何でもありだと思います。フィンランドは比較的治安も良いため、治安の面で海外に不安を感じる人には良い国だと思います。百聞は一見にしかず。少しでも興味があるなら、行ってみるのが一番です。