この留学を振り返って
振り返ってみると、長かったようで一瞬にして過ぎて行ったように思います。楽しいこと、幸せなこともたくさんありましたが、もちろん辛くて大変なことも様々ありました。でも、思い返すとそれらの経験一つ一つが、成長に直結していることをよりいっそう感じた期間でした。資格や単位等、目に見える成績についてはあまり記録を残せませんでしたが、人としては非常に大きく成長できたように感じます。
まず、自分は一人でも十分に生活できると考えていたのですが、実際は全くそうでなかったことに気がつきました。家族、友人、その他私に関わってくれている様々な方達がいてこそ、自分が存在していることに気がつきました。また、自分のいる環境等、「当たり前」が決して当たり前ではないことに気づくこと、それを当然視せず、常に感謝の気持ちを持ち続ける必要があること、そして、自分の未来についての考えも深まったし、自分に対しても理解を深めることができたと思います。また、文化や言語が違う世界で暮らし、他文化、他言語はもちろん、全く異なる価値観を持つような人たちとの出会いを通して、さまざまな人たちを知り、理解することを学びました。そこでも、自分は偏見が少ないと感じていましたが、様々な場面でハッとさせられることがあったし、自分自身に対する偏見をも持っていたことに気がつきました。その他自分ができないこと、苦手なことも明確に見えるようになり、留学期間中に改善できなかったことについては、帰国後引き続き努力していきたいと考えています。
そして、韓国語能力については、やはり現地に留学しているわけなので、現地の人々との交流を積極的に行うことが非常に重要だと思いました。いくら語学堂や授業を通じて学んだとしても、それらをアウトプットする環境が無ければ結局は日本にいながら勉強をするのと大きく変わりがないと思います。友人関係のみならず、日常のいろいろな場面で韓国語に接することが何より大切だったと思います。私がもっとも苦労したのは抑揚で、ずっと使用してきた関西弁の影響が大きく、なかなか癖を直せませんでした。何度か、釜山の方言が混ざっているようだと言われたこともありました。今でも完全に直すことはできず、少し心残りではあります。ですが、留学当初にメモをしていた分からなかった単語が今では日常的に使えるようになっていることを知った時には、なんとも言えない誇らしさを感じました。帰国後にはTOPIKを受験し、明確に実力を確認したいと思います。
留学経験をどのように活かすか
留学前は、特に就きたいと考えるような職種さえも不明確で、未来に対する不安が大きかったにも関わらず、何から始めればよいか分からず、考えること自体を避けたりしていました。留学初期からしばらく前までも、目の前のことをこなすことで精一杯の状態だったのですが、最近になって、これまでの人生、留学生活を振り返ったり、自分を顧みる時間を多く過ごすようになり、将来の見通しが少しずつですが立ち始めたように思います。私は韓国語の勉強も初めは趣味で始めたのですが、言語を学び、言語を習得することで自分が理解することができなかった世界を知ることができるようになり、世界が広がる感覚が非常に楽しく、今後もよりいっそう世界を広げていきたいという思いが深まりました。また、その語学能力を生かし、言語を学ばなくとも様々な文化や価値観を共有できるような環境を作る役割をしたいとも考えています。そして、似たような考えを持つ人たちをサポートしたり、よりよい環境を経験できるよう手助けするようなことにも関心を持ち始めました。もちろん就職のみならず、留学生活を通して得たさまざまな知識、能力、価値観等は、今後の人生の様々な場面で役立つと思います。
また、交換留学をするケースが少ない社会学部ですが、社会学を学ぶ際に必要な、物事を多角的に見る視点、偏見のない視点、多様な価値観への理解等を身につけることができました。社会学部生の1年の交換留学は周囲でも聞いたことがなく、知り合いも全くいない中での不安でいっぱいの留学前でしたが、結果的にそのような環境が私にとってはかえってプラスに働いたのではないかと思います。新しい環境で1から始めるということは決して簡単なことではありませんが、留学のみならず、一人暮らし、就職、アルバイト等々でも似たようなことを経験できると思います。ですが、自国を出てさまざまなストレスが生じる中に飛び込んだ自分を称賛したいし、様々な面で支え、応援してくれた親、家族へ、特に感謝をしたいです。また、手続き等たくさんのサポートをしてくださったグローバル教育推進センターの方々にも感謝の気持ちでいっぱいです。本当に多くの方々の支えがあってこそ成り立った私の留学生活、今後も周囲の方々への感謝を忘れず、様々なことに全力で挑戦し続けたいと思います。そして、留学を悩んでいる方がいたとしたら、深く考えすぎず、一度飛び込んでみたらどうかと伝えたいです。さまざまな経験をし、さまざま感じ、考えることでしょうが、その全てが必ずいつか役に立つ経験となり、自身の成長につながる非常に大切な機会になることだと思います。