Center for the Promotion of Global Education

グローバル教育推進センター交換留学マンスリーレポート

中国人民大学
2024年6月号 文学部S.N

「この留学を振り返って」

6月いっぱいで北京での留学生活を終えた。留学前はほとんど聞き取れない中国語レベルでどうやって生活するのか想像もつかなかったが、振り返ると大変なことも楽しいこともたくさん経験し、3年ぐらいの時間をぎゅっと凝縮させたような10ヶ月だったと感じる。生まれた時からずっと日本で育ってきた私にとって、日本から離れて暮らしたこの留学経験は今まで考えもしなかったような価値観や疑いもせず受け入れてきた常識に違和感を抱く機会を与えてくれたとても刺激的なものとなった。中国で生活する中で中国スタイルの接客に対して雑だとも思えるが、だからこそ気軽に話すことができるし人たい人のむしろ心の通った接客だと感じ、この感じが私はとても素敵だと思うようになった。だから日本に帰ってきて、日本の接客を見るととても丁寧で日本らしいと思った一方店員さんとお客さんの間に心の距離があるようなそんな感じがして少しさみしい気持ちになった。今までは海外の人々からも好感が高い日本の丁寧な接客について疑問はもちろん、短所があると思ったことは一度もなかったのでニコニコ接客する日本人を見てその笑顔に心がついてきていないのではないかと思っている私がいることに私自身とても驚いている。もちろん今回の留学生活がなかったらこんなことには絶対に気がつかなかっただろう。気が付いたことが多少残念なことであったとしてもそのことで気分が落ちるというよりは、気が付いたことでまた新たな考えや新たな自分になることができたと感じ、気がつくことができてよかったと心から思っている。

 

「留学経験をどう活かすか」

 10ヶ月間中国語を勉強してきて、実際に中国語レベルは上がったし中国語が以前よりも好きになった。ただ中国語自体を仕事にすることはあまり考えていない。これからも中国語を勉強しながら留学経験の中で得たものを活かしていけたらと考えている。中国の文化や人に触れ、一般的な日本人にはあまりない感覚や考え方が私の中にはあると思っている。それは、この先の人生どんな道を歩むとしても強みとなって私を支えてくれると感じている。中国では大事な場面ではとことん緊張したり人の目を気にして張り切ったりするが、些細なことで恥ずかしがって自分を出すのを諦めたり特に重要でない場面でストレスを感じたりする人が少ない。そんな人々と共に生活する中で、自然と私にも自分にとって大切なのかそうでないのかということを前より考えるようになったし、それがわかることでどうでもよいことで恥ずかしがったりストレスを貯めることがなくなった気がする。今まで「まめにコツコツ、全てにおいて細部までこだわって何かをする」ということに苦手意識があった私にとって、中国で身につけたこの技は「苦手な部分を無理やり直せ」という今までの考えから解放され、私の良さをより引き立て心を強くしてくれたと感じとても清々しい気持ちになった。これ以外にも今回の留学生活で得た経験はきっとこれからの私にとって良い方向に働くだろう。この経験を最大限活かせるよう努力したい。

 最後に、このような素晴らしい経験ができたことは周りの人のたくさんの支えのおかげだ。留学するという私の決断を聞いて背中を押してくれた家族や友達、私に刺激的な発見をくれた中国で出会ったたくさんの人々や先生、交換留学に関する様々な手続きをしてくださった両大学の事務の方々、そして私のこの交換留学を可能にさせた中国人民大学と龍谷大学の協定関係に感謝したい。ありがとうございました。