Center for the Promotion of Global Education

グローバル教育推進センター交換留学マンスリーレポート

上海師範大学
2015年6月号 国際文化学部 M.K

・  治安、危険を感じたこと、トラブルについて

日本人観光客が中国を訪れた時にだまされたという話はどこかで聞いたことがあるはずです。その手口として最近一番多いのが、中国人とお茶を飲みに行き高いお茶代を払わされる、もしくは多く払う羽目になるという手口。留学に来る前に数回中国には来たことがあり、実際経験した友達の話を聞くことも多々あった中、自分は絶対騙されないと思っていました。留学3ヶ月目にして、まんまとやられたのです。その話を今回はしたいと思います。

上海で有名な観光スポット豫园という場所があります。(この場所でお茶の詐欺が多発している)この場所には、外国人だけでなく中国人観光客も多く訪れます。ある平日の午後友達と2人で歩いていると中国人学生3人(女2人、男1人)に“写真を撮ってください”と声をかけられました。もちろん快くオッケーし、上手く撮れているかなどの会話を少しすると私たちが少し中国語を話せることに気付き、私たちも普段勉強している中国語が実践練習として活かせている気がして悪い気はせず、会話はよく弾みました。話を聞くと彼女たちは北京から旅行に来ているそうで、標準語で綺麗な中国語を使い、上海に来た感想、北京との違いなど淡々と話をしてくれました。すると、今からちょうどお茶のパフォーマンスを観に行くところだから一緒に見に行かないかと誘われました。この時点でもしかしてと思ったのですが、彼女たちに対して全く疑いはなく、むしろ年齢が近かったので友達ができた感覚だったのと、せっかくなら中国人が勧めるお茶のお店を見てみたいという好奇心から、ついていくことを決めました。

今思うとおかしなところが2点。この時点でわたしは彼女たちにそのお茶代はいくらか尋ねましたが、答えはわからないとのこと。きっと旅行なら予算くらいわかっていたはず。また、旅行で初めて来たはずの場所だがガイドブックや携帯など一切見ず、道に迷うことなくまるで誘導するかのようにその場所へと私たちを連れて行ったのです。話に夢中になっていたので今思うとおかしなこともその時はなんとも思いませんでした。

ビルの地下、あまり賑やかではない場所へ案内された私たちは彼女たちと個室に案内され、目の前にパフォーマーがひとり。しっかりとメニュー表を見せてくれましたが、種類が多く値段も一杯50元ほど(1000円くらい)彼女たちは2杯分をみんなで分けるというので、わたしも友達も同意しました。するとどう考えても無駄な動きと、意味のないお茶の無駄遣いなどで(置物にお茶をかけるなど)一人分の量は1口ほど。パフォーマンスを繰り返しあっという間に2種類はなくなり、頼んでもないのに店員さんは次々と紹介しながらお茶を注いでくるのです。彼女たちはそんな店員さんの様子は気にせず、わたしたちの隣でお茶の説明をするのです。この時点でただの旅行客でないほどのお茶の知識と、学生と考えられないお金の使い方にやっと気付き、友達と用事があると適当に話し店から出ることを決めました。ひとつ救いだったのは彼女たちが全く日本語がわからなかったので周りを気にせず友達と冷静に会話することができたことです。本当は一銭も払いたくなかったのでそのまま出ようとすると3人ほどの女性の店員さんに力ずくで止められ、とても怖い顔で払えと言ってきました。(この時点で個室から学生3人組が現れることはなかった)さらに支払うのはわたしたちが飲んだ分だけではなく全員分。200元と言われ(4000円ほど)払わなかったら、、、と脅されている気がしたので無駄な抵抗はせず諦めてさっさと払いその場から逃げました。金額は正直数万など高額ではありませんが、飲んだ量とは決して比例せず、あきらか払わせるために誘ったことがわかったので、やられたと気づいたのです。

このような手口は“写真を撮ってください”から始まることが多いそうです。よくあるのは日本語を少し勉強したことがある、アニメの話など日本に関係することをたくさん知っているなど。もちろん詳しい人がみんなそんな人ばかりではありません。私も何人か友達がいますが、たくさんの中国人の友達は日本に対して興味があり日本語を話せる子もいます。彼女たちとの関係性も良好で、気を使うことなく良い付き合いをしています。しかし出会ってすぐ一緒にそのまま出かけるとなると信頼できる人かどうか判断するのは外国人相手ならやはり難しいでしょう。中国人だけに言えることではありません。今後生きていく上で、見極める力と断る勇気も必要だと感じました。

 

・  中国人はお茶以上に白湯を飲む

暑くなってきてだんだんと冷たい飲み物がほしい季節。ですがこの時期でも中国のレストランに行き“お水をください”というと基本的に温かい水、白湯がだされるのです。また、ビールを注文するときもわざわざ“冰的”“冷たいの”と伝えないと冷えたビールはもらえません。実はこれは中国人が白湯を飲む習慣があることからきているのです。

まず、一般的に中国では、水があまりよくないということもあり、必ず水道水は一度沸かしてから飲む習慣があります。学校や施設いたるところにあるウォーターサーバーは日本だと冷水がメインに使われているイメージですが、中国人は比較的冷水よりも頻繁にお湯を飲むのです。そして何より体を冷やすことは健康に良くないという考えが定着しているのです。実際私が風邪をひいたとき、中国人の先生や友達に、“お大事に、お湯をたくさん飲んでね”とアドバイスをされました。お湯=万能薬と考えられているそうです。風邪をひいたとき以外でも脂っこい中華料理を食べた後白湯を飲むと消化と排泄を助けてくれる、胃腸の働きを高めるとも言われています。

実際に白湯は中国だけでなくインドでも健康維持のために飲まれているもので、特に温度は定義されていませんが一般的に30℃から70℃程度の飲みやすい温度で摂取するといいそうです。インドの伝統予防医学において、内臓器が最も熱エネルギーを生産する働きがあると考えられており、適度にあっためられた水つまり白湯を飲むことで胃腸を始め他の内臓を温め、血液の流れが促進され、代謝アップ効果が高まるとされています。

つまり中国人の白湯を飲む習慣は確かに健康にいいことなのです。とはいっても、冷たい水はどのコンビニやスーパーでも販売されていますが、感覚として高いのであまり購入しないのでしょう。スーパーだと一番安い水550mlで0.8元(20円しないくらい)ほどで売っています。安いものから高いものまで水の種類は比較的多いです。

わたしたちは中国人と聞くと、イメージはウーロン茶など数々のお茶を飲むイメージですが、、、実はこのような以上の理由からお茶以上に白湯を好んで飲むのです。中国に来て思ったのは、お茶はどちらかというと贅沢品、お土産や旅行客が好んで買うものという感じがします。中国へ行って冷たい水をださないレストランや、冷たいビールを用意していない店は悪いわけではないということをわかってほしいです。わたしたちが知らないだけで物事には理由があるんだと気付きました。