Center for the Promotion of Global Education

グローバル教育推進センター交換留学マンスリーレポート

デュースブルグエッセン大学
2025年5月号 文学部 W.T

環境について

 

こちらの環境は大変よいです。図書館は土日も含めて22時まで空いていますし、街にはたくさんの木々が植えられ、車は日本ほど排気ガスを排出しないので、空気が遥かにきれいです。そして、車の騒音もあまりありません。ただ、不満なのはバスや電車についてです。かなりの頻度で遅延します。特に、電車は急に到着する乗り場が反対に変わったりするので、それは十分気をつけねばなりません。(私は一度、そのことを知らずに電車を逃し、大事な用事を逃しました。)また、ドイツは日本より生活保護の受給率が高いにもかかわらず、駅にはホームレスの方が大変多いです。ドイツは日本と違って物乞い行為が違法ではないし、ホームレス支援団体も多いため、彼らの数も多くなるのかと思います。私は、富裕ではありませんが、ドイツの厳しい冬を乗り切って生きる彼らに対して、まだ楽に生きられている自分が申し訳なく、会うたびに財布の中の小銭をあげたり飲み物や食べ物をあげたりさせていただいています。しかし、ホームレスの方の中には大変しつこくつきまとってくる方がおられます。なので、渡独直後に安易に近づくのは避けた方がよいかもしれません。そして、治安はよくありません。駅前の宝石店や電化製品ショップの窓ガラスには、何度もガラスの破壊を試みた痕である多くのヒビが残っています。他にも、地下鉄を利用していたら、目の前に座っている方から、「気を付けて。スリがいるから」と言われたこともありました。そして一度、「駅でチケットを買いたいから小銭を紙幣に交換してほしい」とある男性に言われ、10ユーロ渡したら、小銭を渡してくれず、そのあともお金を返そうとはせず、それどころか、もう20ユーロ必要だと言われ、断ったら後をしつこくつけてきて2度も叩かれるという不愉快な出来事がありました(その後、警察に行って被害届を出しました。)。このように、治安についての問題は多々あります。しかし、ドイツの方は優しい人が多く、道を聞くと必ず歩を止めて教えてくれますし、大変友好的で、彼らといると非常に心が癒されます。

 

生活などについて

 

ドイツの方は少しでも違和感を感じたらはっきりと物を言う方が多く、雰囲気や空気を読むことが苦手な私にとっては有難いことでした。また、彼らは政治の話をよくします。日本では友人・知人間では政治の話はタブーとされていますが、こちらでは全くそうではありません。彼らは支持政党はどことか、支持の理由を流暢にはっきりのべます。若者の間ではDie Linke(左翼党)や、SPD(ドイツ社会民主党)といった左派政党が人気のようです。そして、私が今いる西部ドイツでは近年躍進した極右とされるAfD(ドイツのための選択肢)に対して否定的な人が多いらしく、街中でも「AfDはいらない」や「AfDが望まない生き方をしよう」といった落書きが多く散見されます(ドイツの街中は驚くほど落書きが多いです。)。

街を歩けば、目にするのは半分が移民の方で、トルコ人、黒人が大変多く、ドイツ人と結婚して家庭を持っている人も見受けられます。日本とは違い、移民に対して寛容な風土があるように思いました。美容広告も、あえてアジア人や黒人を起用しており、彼らの移民に対する態度がうかがえます。また、ドイツ人でもヒジャブをかぶっている人をかなりの数、見てきました。近年ではイスラム教に改宗する人も多いようです。このように多文化に寛容な面は多々ありますが、一度、ある男性にわざとこちらから目線をそらして、陰口でもいうように「ニーハオ」と言われたことがありました。近くには私しかいなかったので、明らかに私に対して言っていたのだと思います。同じドイツ語授業に参加している日本人からも、同様の体験をしたと聞きました。SNS上でも在独日本人が差別的な言葉を投げかけられたということは何度か目にしています。ドイツでもまだアジア人差別は残っているようです。しかし、私にとっては日本よりドイツの生活の方が、遥かに楽しく、友人も沢山でき、自分に合っています。もっと早く来るべきでした。