Center for the Promotion of Global Education

グローバル教育推進センター交換留学マンスリーレポート

東フィンランド大学
2015年11月号 経済学部 D.K

―カルチャーショックについて―

今の時代、インターネットなどを介して、遠く離れた国の映像や情報を容易に得ることができるようになったため、以前より人々が他国に旅行などで訪れた際、カルチャーショックを受けることは少なくなった、とよく言われますが、実際に現地に訪れると、誰しも、大なり小なり様々なカルチャーショックに遭遇することかと思われます。私も実際、渡航する前にフィンランドに関する情報をたくさん集めましたが、現地で実際に生活を始めると、小さいカルチャーショックの連続でした。当たり前のことかもしれませんが、お米ではなくパンやジャガイモを主食として食べていること、箸ではなくフォークやスプーンを常に使用していること、お茶ではなくコーヒーや紅茶を常に飲んでいることなど、最初は様々なカルチャーショックに遭遇し、違和感を感じ、時には困惑することもありました。その中でも、私が最も顕著だと感じたカルチャーショックは働き方、あるいは仕事に対する姿勢です。ポジティブにもネガティブにも、日本人はよく、勤勉で忠誠的なHard Workerと描写され、実際こちらでできた他国の友人からも、その様なイメージを日本人に対しては持っているとよく聞きます。一方、欧米には仕事よりも、家族との時間や、自分の時間を大切にしている人が多くいるとよく言われます。その様な欧米人の働き方や仕事に対する価値観は、ある程度日本に居る時から、文献などを通して知っていましたが、実際にフィンランドにいると、現地人のその様な働き方にどこか違和感を感じます。私が住んでいるアパートの隣は銀行なのですが、もちろん週末は営業しておらず、平日も5時を過ぎたら、ほとんど必ずと言っていい程、暗くなります。また週末は多くのお店、街で一番大きなショッピングセンターでさえも休み、もしくは営業時間を短縮しています。日本で生まれ育った私にとっては、なぜフィンランドの企業は最も集客が見込められるであろう週末に休業するのか、それだけ儲かっていて余裕なのかと不思議でなりません。

 

―移民について―

移民問題はヨーロッパ諸国が抱える、最も重大で早急に解決策を模索すべき共通の問題でしょう。フィンランドでも移民問題はとてもタイムリーなトピックでほとんど毎日、フィンランドの大きな新聞で取り上げられています。フィンランドはヨーロッパの中でも移民の受け入れに積極的な国の1つで、フィンランド国民もこの問題には敏感だと思われます。今年の夏、フィンランド中部に位置するユバスキュラという街で多文化共生に賛成し、人種差別に反対するデモ行進が約1000人により、警察の同意のもと平和的に行われました。その一方、そのデモ行進の5日前に同じユバスキュラという街で多文化共生に反対する団体、いわゆる右翼団体によるデモが約40人程で組織され、数十人が逮捕されています。フィンランドの移民の多くはシリアではなくイラクからの移民です。先日、フィンランド人の友人に誘われ、ある教会のイベントに参加しました。そのイベントとは、フィンランドへ新しくやって来た移民を、牧師のことばや聖歌隊の歌により、歓迎するというものでした。参加していた多くの移民は若い人や、家族で、まだ小さい子供もたくさんいて、正直、大きなカルチャーショックを受けました。まだ小さい子供を抱え、言葉も分からない、生活様式も全く違う国へ、よりよい生活を求め、祖国を離れる決断を下した人々に向かって、牧師が希望に満ちた言葉をかけ、聖歌隊が希望に溢れた歌を合唱し、温かく迎え入れる様子を見た時、様々な感情が込み上げ、涙してしまいそうになりました。日本でも、現在、少子高齢化の進行などにより、更なる移民の受け入れの是非が議論されています。日本は、今ヨーロッパ各国が直面している移民問題を他人事として眺めるのではなく、いつか我々も直面するであろう問題として、そこから重要な教訓を得ることが大事だと思います。私も、フィンランドに居るという貴重な機会を生かし、ヨーロッパ各国が発行している移民問題に関する様々な情報や記事に触れ、より国際的な視点でこの移民問題を考えられるようになりたいと思います。