Center for the Promotion of Global Education

グローバル教育推進センター交換留学マンスリーレポート

リヨン第三大学
2022年9月号 文学部 A.H

①オリエンテーションについて

8月半ばにリヨンに到着し、約1ヵ月が経ちました。

8/2430にかけてSIMという交換留学生向けのオリエンテーションがありました。このオリエンテーションは有料で、160€を事前に支払いました。参加は必須ではありません。

スケジュールは以下の通りです。

8/24 全体説明会→FLE(フランス語の授業)キャンパス案内→Vieux Lyon 観光

8/25 FLE→履修説明会図書館案内→19時からapéritif

8/26 FLE→健康保険説明会→20時から観劇(?)

8/27 ソーヌ川で船に乗ってリヨン観光

8/29 FLE

8/30 FLE→Culture française 2コマ→22時からsoirée

8/31 FLEのクラス分けテスト

夜遅い時間帯からの懇親会のようなものが頻繁にありましたが、遅い時間帯にmetroに乗って1人で帰りたくないので私はどれも行きませんでした。こちらで知り合った日本人の多くは女性ですが、寮が大学から徒歩圏内の友人を含め、みな安全面の理由からあまり参加していませんでした。また、最終日のsoiréeはDJ付きのダンスパーティーだったようです笑 。日本とは違うなあと感じます。

オリエンテーションはもちろんフランス語で行われますし、FLECulture françaiseを除いて留学生への言語的な配慮はないので、スライドはあるものの、正直全日を通してあまり理解できませんでした。ですが、これを通して日本や他の国からの留学生と知り合えましたし、授業が始まる前に大学やリヨンに慣れることができたので、私は参加してよかったと思っています。

9月に入ってからは、SIMとは別の、学部ごとの留学生向け履修説明会がありました。参加したものの不明点がかなり残っていたので、履修登録に関してはService Général des Relations Internationalesの、アジアからの留学生対応を担当している職員の方に何度もメールで問い合わせながら完了しました。とても迅速に対応してくださいます。

また、これは大学に限らず手続き全般に言えることですが、重要な質問や相談はメールでやり取りすることを勧めます。直接話しに行っても、相手に自分の要求を確実に伝えられなかったり重要な情報を聞き逃したりしてしまい、結局何も成果が得られないまま帰らされるということが何度もありました。反対に、寮の設備についての疑問点や不備などといった些細なことは、積極的に直接相談しにいくようにしています。

しかし手段はどうであれ、判然としないことや疑問点、不満は、解消されるまで何度もしつこく問い合わせる必要があると感じます。やはり、何事も日本のようにスムーズには進みません。例えば、寮で配布された電子キーが作動せず、4回ほど管理人室を尋ねましたが、4回とも「明日また来て」と帰されるということがありました。疲れてしまって電子キーに関してはもう諦めていたのですが笑、同じような問い合わせが多かったのか、本来電子ロックされているはずの共用スペースは結局一日中開けっ放しにされています。フランスだなあという感じですね。

 

②出国前にすべきこと、到着後の流れ(生活用品の買い出し、行政手続き等)について

日本を出国してから、こちらでの生活がある程度安定するまでの3週間ほどは本当に毎日バタバタしていました。フランス留学は英語圏の留学に比べて日本語で集められる情報が少ないと個人的に感じています。なので、出国前にしておいて良かったことや生活必需品の購入場所など、記憶に新しいうちに記録しておこうと思います。これからリヨンに留学される方の参考になれば幸いです。

まず、フランス長期留学にあたり必須の手続き・準備を除いて、個人的に出発前にしておいて良かったことがいくつかあります。以下の3つです。

◯アポスティーユ付きの戸籍謄本を用意しておく

出生証明書の申請に戸籍謄本は必須です。アポスティーユはなくてもよい場合もあるそうですが、あれば確実です。私はギリギリに用意して時間的余裕がなかったので法定翻訳はつけられませんでしたが、法定翻訳もあればさらに安心だと思います。

◯海外旅行用のSIMを日本で買って出発時に差し替えておき、現地到着直後からスマホを使える状態にしておく

到着する曜日と時間、空港にもよりますが、私の場合、日曜の19時ごろにリヨン空港着→20時半にホテル着というスケジュールで、その日のうちにSIMを買いに行く時間がありませんでした。また、フランスでは基本的に日曜日はどこのお店も営業していません。平日の明るい時間帯に到着できる場合や、複数人で渡航する場合はネット環境がなくてもなんとかなるかもしれませんが、私の場合は1人で渡航したうえ、到着時間も遅かったので用意していきました。

何事もなくスムーズに進めばよいのですが、私の場合ホテルのチェックインの際にトラブルがあり、結局その日は事前に予約していたのとは別のホテルを取り直して宿泊するということがありました。そういう予期できないトラブルがあったときに、もしネット環境がなかったらと思うととても怖いです。

結局フランス到着の翌日に現地の友達に手伝ってもらってチェックインのトラブルは解決し、その日のうちにフランスのSIMも購入したので、日本から持参したSIMを使ったのは実質1日だけで、結果としてはかなり割高な買い物になりました。ですが、ホテルのWi-Fiも使い物にならなかったりして、日本からSIMを用意してきていなかったら現地の友達に助けを求めることもできなかったと思います。なので、万が一に備えて安心を買うという意味で、海外旅行用のSIMを用意していくことを勧めます。あるいは、フランスでSIMを購入するまでの数日間、日本で契約している携帯会社の海外利用プランを使用している友人もいました。

また、次に述べるタクシー配車アプリの利用にもネット環境は必要です。

◯タクシー配車アプリをインストールしておく

空港からリヨンの中心部まではタクシーか公共交通機関を使って移動します。リヨンの公共交通機関は日本と比べて治安がよくないですし、快適ではありません。重いスーツケースを持った身軽でない状態で利用するのは、防犯面からも長いフライト後の体力面からも避けた方がよいと思います。

空港でタクシーを拾うこともできますが、私は配車アプリ(Uberなど)を利用することを勧めます。理由は2つあります。1つ目に、目的地をアプリで登録するため会話に不安があっても確実に目的地に到着できること、2つ目に、乗車前に料金が確定するのでぼったくられる心配がないことです。実際、私は配車アプリを利用して中心部まで移動するのに約45€を支払いましたが、空港でタクシーを拾ったという友人は70€ほど請求されたと言っていました。

また、到着当日に予約していたホテルに泊まることができず新しいホテルを取り直したと書きましたが、その辺りはリヨンの中でも特に治安の悪い地区(La Guillotière)だったようで、22時頃にはホテルの外からよく分からない叫び声や笑い声が聞こえていました。重いスーツケースを抱えて新しいホテルまでのたった数分を歩くすら怖かったので、その時も配車アプリを利用してタクシーで移動しました。

 

次に、主な生活用品は以下の場所で揃えました。

IKEA (最寄り駅:ParillyLyon 3からmetroで約15分)

Westfield La Part-Dieu:ショッピングモール(Lyon 3から徒歩20分、公共交通機関でも行けます)

→Free(携帯会社):私は月90Gで約12€のプランを契約しました。手続きはとてもスムーズに15分程度で終わります。出国前にスマートフォンのSIMロックを解除しておいてください。

→Darty(家電量販店):私を含めこちらで知り合った日本人の多くは海外利用可能なドライヤーを持参していましたが、ドライヤーは17€ほどから売っていたので、現地で調達した方が安く済むかもしれません。

無印良品:商品によって異なる気がしますが、大体日本の1.53倍の値段だと思います。

ユニクロ:大体日本の1.52倍の値段だと思います。

→ZARA:日本と値段は変わりません。

服について:最低限の服だけ持参してあとは現地で調達することもできます。ですが渡航直後は手続きやオリエンテーション等で忙しく、時間的にもあまり余裕がなかったので、追加料金を払ってでも渡航時に日本からある程度持参した方がよいと個人的には思います。日本から郵送してもらうにしても、渡航時に手荷物として持参するのに比べてかなり送料が嵩みますし、手続きは煩雑です。また現在9月の後半ですが、夜から朝にかけては10度前後まで気温が下がり、ダウンジャケットを着ている人も見かけます。冬服もすぐに必要になりそうです。

Técély(交通定期券):TCLの店舗(Part-Dieuにもあります)で、月25€でリヨンのmetrotrambusに乗り放題の学生定期を購入できます。1日始まりです。購入にはパスポートが必要です。リヨンの公共交通機関の利用方法は日本とはかなり異なります。事前に調べておいてください。乗り換え検索にはTCLのアプリが便利です。

 

最後に、すでに終えた行政手続き等は以下の通りです。しなければならない手続きの全てはまだ終えていません。

◯銀行口座の開設:CAFの申請のほか、現地での寮の手続きの際などに口座情報を求められます。前述のSIM期間中に大学内に BNP Paribasのブースが設けられ、そこで手続きすることができました。パスポートと寮のattestationが必要です。私は出発前に日本からフランスの住宅保険に加入しておきましたが、まだ住宅保険に入っていなかった友人のうち数人は、銀行口座開設と同時にBNP Paribasの住宅保険にも加入していました。

◯在留届:日本の外務省に提出しなければならない書類です。ネットで完了します。

VLS-TSの有効化:フランスの移民局でしなければならない手続きです。フランス到着の3ヶ月以内にビザの有効化をする必要があります。ネットで完了します。

◯出生証明書の発行:CAFSécurité Socialeの申請に必要な書類です。在リヨン領事事務所で直接申請しました。前述の通り、戸籍謄本が必要です。申請から3日ほどで受け取ることができます。私は2部発行しました。

 

出発前にすべきことや、フランス到着後の流れについて述べました。私は自分が女性で小柄であり、また語学力にも自信がなかったこと、そして現地で1人で行動しなければならなかったことから、ネット環境の確保や安全面についてはかなり慎重に準備し行動してきました。ご自身が男性であったり、語学レベルも十分にある場合はもちろんそこまで備えなくてもどうにかなるかもしれません。ですが、フランスでの生活は、特に最初は、さまざまな面において日本人にとっては予想以上に難しいものであると感じます。何事もなければよいですが、できれば念入りに備えておいてほしいと個人的には思います。

 

全体を通してかなり事務的な内容になってしまいましたが、もちろんリヨンに着いてから楽しいことも沢山ありました。すでにさまざまな場所を訪れましたし、友人たちとレストランやカフェで食事を楽しむ機会もありました。Vieux Lyon(写真1枚目:La basilique Notre Dame de Fourvière)はもちろんですし、先日は現地の友人がおすすめのレストランやParc de la Tête d’Orに連れて行ってくれました。フランスは日本ほど気温は高くないものの日差しが強く、この日は歩いていると少し汗ばむほどの陽気でした。アイスを片手に広い公園内を散歩して、植物園に入ったり池を眺めたり、とても充実した時間を過ごすことができました(写真2枚目)。

 

そのほかにも、日本語学校の授業のお手伝いをしたあと、Musée des beaux-arts de Lyonを訪れた日もありました。美術館の建物自体もとても美しく、また、すごく近くで作品を眺めることができます。日本でも西洋美術を楽しむことはできますが、企画展などはいつもとても混み合っている印象があります。人の少ない館内で、油絵のてらりや細かな筆致までのんびり鑑賞することができ、とても楽しかったです。リヨンに来られたら是非訪れてほしい場所の1つです。私自身もこれから何度も訪れたいと思います。