Center for the Promotion of Global Education

グローバル教育推進センター交換留学マンスリーレポート

バレンシア大学
2013年4月号 文学部 H.Y

・この一年を振り返って

この一年は振り返ってみれば困難の連続で、どこでもスペイン語、どこに行ってもスペイン語から逃げられないという、明々白々ではあれどかなり心理的に圧迫感のある一年でした。これで英語でも話せれば、多くの留学生たちがそうしているように、英語話者ばかりで集まるということも出来たのでしょうが、スペインまで来て英語ばかりというのはどうかと。便利なのは便利なのでしょうが。とにかく逃げるわけにもいかないので、出来得る限りに現地人・留学生を問わず話しかけて会話を増やしていった結果……ときて、かなり成長しましたなどと言えれば良かったのですが、自分で思うにそれほど大きな進歩がなかったように思えます。こればかりは単純に私自身の力量不足という他ありません。友人からは「来たばかりの頃は酷かったけど今は随分喋れるようになったよね」とよく冗談交じりに言われますが、それはあくまで友人達がこちらに合わせて喋ってくれているからだと考えています。現に今でもスペイン人同士の会話などは言葉遊びが多く、半分ほどしか理解できないことも少なくはないので。それでも言えるのは、この一年で間違いなくスペイン語話者としての一歩を踏み出せたこととともに、現地人との誼を通じてスペイン国内の政治や経済・歴史への関心や思想を学べたこと、授業などを通して他国からの留学生と苦労を共にし親交を結べたこと、これらのことが私の財産となり将来の目標へ向かう為の支えとなってくれるものと確信しています。

 

・帰国後どう留学経験を活かす予定なのか

帰国後は自身の専攻学科に集中しますが、それと並行してやはりスペイン語学習を継続していきたいと思っています。その為に、龍谷大学に来るスペイン人留学生と交流を結び、このバレンシア大学で私が受けたように彼らに出来る限りの協力が出来れば幸いです。そうすることで、おそらく互いに持っている語学知識を研鑽し合うということも可能でしょう。また翻訳のアルバイトなどがあれば挑戦してみたいとも思っていますが、こちらに関してはまったく情報を持っていないので、帰国後に有識者に協力を仰ぐ必要があるでしょう。そして翻訳業務に多少なりとも従事するためには資格も必要になってくるでしょうから、スペイン語検定の昇級とDELEへの挑戦にも力を入れなければなりません。これらを経て将来的に翻訳・通訳業に従事するという目標がありますが、ここでやはり留学中に結んだ親交が少なからず役立つのではないかと考えています。例えば翻訳の文章解釈につまづいた時に相談したり(これについては既に幾人かに話をつけています)、逆に友人やその友人が来日した際には通訳・ガイドを買って出ることで経験が積めるなど、多くの、しかし決して片務的ではない恩恵としてこの一年の価値が現れてくるのではないでしょうか。

 

・自由テーマ

最終号用に温存していたネタがあったはずなのですが忘れてしまったので、日本帰国前に予定している旅行について書いてみたいと思います。   今受講している授業の試験が六月中旬に終わるので、そこから一週間ほどゆっくりとして、七月初旬にここバレンシアを発つ予定です。しかし日本に直帰するというのも面白味がないので、アメリカ大陸を北上してからの帰国ということになりました。既に購入している航空券はアメリカ大陸の最南アルゼンチン着と米国ラスベガス発のふたつのみです。この間にある26日ほどを利用して、南米の色々な名所や遺跡などを見て行きたいと考えています。移動にはバスを多用するつもりですが、これは中南米の航路は欧州ほど発達しておらず料金もまたそれだけ高いのが理由です。しかしかの大陸は想像以上に巨大なようで、例えば南北に長いチリなどは国土の半径を縦断するのに一日かかるという話すらも聞きます。そのあたりを考慮してひと月足らずで旅程を予想すると、今回は中米縦断は諦めざるを得ないのが残念ですが、おそらくコロンビア辺りから飛行機で米国に渡ることになりそうです。   少し心配なのは南米の治安に関してですが、これは地元民も認める危険が確かに存在するようです。単に強盗に遭うだけならともかく(勿論それも十分嫌ですが)、死体袋に入って帰国なんていうのは洒落にならないので、防犯と不用意な行動を慎む必要があります。これに関しては幸運なことに、こちらで知り合った南米出身者の知り合いというガイドを紹介して貰える手筈になっているのが救いでしょうか。   加えて当旅行はこの一年の成果が如実に表れる機会でもあります。米国以外は全てスペイン語圏であり、これらを恙なく旅行し人々と交流できて初めて、この約一年間に及ぶ留学生活も成功と云えるのではないかと。     以上をもちまして、文学部H.Yの交換留学マンスリーレポートを締めくくらせていただきます。ごきげんよう。