Center for the Promotion of Global Education

グローバル教育推進センター交換留学マンスリーレポート

ワルシャワ経済大学
2021年5月号 国際学部 S.S

①カルチャーショックについて
 
現地での留学ということもあり、カルチャーショックは感じることはありませんでした。しかしながら、文化の違いを感じるある出来事がありました。日本のGWのように、ポーランドでも1週間の連休がありました。それが”イースター”です。イースター前の各授業では、教授から家族と健康的に過ごすようにと伝えられ、イースター後にはその感想を聞いておられました。その時に、ポーランド人にとってはイースターには重要な意味合いがあるのではないかと感じました。
 
イースターとは、十字架にかけられて処刑されたイエス・キリストが、3日後に復活したことを皆で祝うお祭りのことです。なので、日本語では「復活祭」と呼ばれています。人口の約88%がカトリックを信仰しているポーランド人にとっては、この復活祭は彼らの生活レベルにまで浸透しているのでしょう。この復活祭では、一般的に家族と共に御馳走を食べて、イエスをお祝いするそうです。
 
この復活祭での風習を知った後に私が一つ感じたことは、国教を定められていない日本とポーランドでは、伝統行事に対する認識にあまりに違いがあるという点です。私自身、特定の宗教を信仰しているわけではなく、むしろ無宗教との認識を抱いています。日本に国教が定められていないメリットとしては、信仰の自由が認められているということが挙げられます。そして、そのデメリットは、宗教行事に対してあまり関心を向けないことです。この出来事をきっかけに、日本国民として最低限、自国のそれぞれの祝日にどのような意味合いがあるかを理解したいと感じました。
 
 
 
②ポーランド について
 
人口は2019年現在は約3840万人が住んでおり、民族構成としては人口の97%がポーランド人が占めています。EUに加盟している国は原則として、難民の受け入れを拒むことはできません。その為、フランスでは人口の約2割が移民や、その2・3世で構成されていますが、それに対してポーランドは人口の大半が自国民です。
 
また、ポーランドは2004年のEU加盟の際に共通通貨のユーロを導入せず、独自のズロチ(ZL)と言う通貨を使い続けています。ポーランドは当初は2009-2010年にユーロの導入を検討していました。しかし、最終的にその導入に至らなかった要因として、2009年に起こったリーマンショックが挙げられます。リーマンショックがきっかけとして発生したユーロ危機は、各国に対するユーロの信頼を著しく損なうことにつながりました。その後、多くのヨーロッパ諸国の経済が伸び悩む中で、ユーロ未導入であったポーランドは2009年の経済成長率が唯一プラスを記録しました。その背景として、ポーランドの輸出依存度が周辺国ほど高くなかったので、輸出減によるダメージが少なかったことが関係しています。輸出依存度がそれほど高くない理由としては、人口が周辺国よりも多く、国内市場の規模が大きいからです。故に、ポーランド における産業構造が輸出一辺倒にはならないのです。このように、ポーランドはユーロ危機以降も順調に経済成長を遂げたことで、2004-2014年の間で50%の経済成長を記録しました。