余暇の過ごし方
私が履修していた授業は、秋学期・春学期共にグループで課題をすることが多く求められるものだったので、クラスが午前/午後のみ、もしくはない日でもグループワークやそのための準備をすることが多かったです。もちろんそれと並行して個人のアサインメントやテストもあったので、ほとんどの時間は勉強に費やしていたと思います。その中で、少し気分転換をしたいなと思ったときには友だちと会ってfikaをしたり、料理をしたりイベントに参加したり、旅行の予定を立てたりして過ごしていました。また、家族と電話をしたり、1人でゆっくり過ごす時間も大切な時間でした。
クリスマスから年末年始のホリデーシーズンには、いろんな都市に旅行に行きました。もともと旅行は好きだったのですが、思っていた以上に学ぶことがたくさんあり、本当にいい経験ができたと思います。行く先々で出会うカルチャーの違いを、日本と比べるというよりはスウェーデンと比べてどう違うのかを無意識に考えている自分に気づいたとき、馴染めていないと思っていたスウェーデンに意外と慣れてきているんだとわかって嬉しかったのを覚えています。
リネウス大学があるベクショーという町はスウェーデンの南の方に位置しており、デンマークのコペンハーゲン 空港まで電車で3時間弱で行くことができるので、ホリデーシーズンのようにまとまった休日がなくても週末を利用して他の国に旅行に出かけることが可能です。1度の留学で多くの国に訪れることができるというのはヨーロッパ留学のひとつの魅力であると思うので、機会がある方はトラブルだけは気をつけて、ぜひいろんな景色を体験して欲しいなと思います。
緊急帰国/この留学を振り返って
3月中旬に日本外務省が新型コロナウイルスに伴うシェンゲン協定加盟国の感染危険情報をレベル2に引き上げたことから、龍谷大学から帰国を要請され、予定より3ヶ月ほど早く日本に帰国しました。私は正直その時点では日本の方が危険であると認識していたので戸惑う気持ちもありましたが、ヨーロッパの多くの国々が徐々に国境を閉めていくのと比例して飛行機の便数がどんどん減っていっていたのと、同時期にリネウス大学がオンライン授業に切り替えたということもあって諦めがつきました。
ヨーロッパでコロナウイルスの問題が「自分たちの」問題として深刻に受け止められるようになったのも、ちょうどその頃だと思います。それまでは、私を含めほとんどの人がアジアの問題、またはアジア人差別の問題として話題にしていましたが、3月中旬になるとそこに住んでいる人たちにとっても身近なトピックとして扱われるようになりました。現代のグローバル化による人の移動のハードルの低下について、学問領域上では学んできましたが、実際に体験してみると本当にそのインパクトについて思い知らされた気がします。
私に直接関係のあったスウェーデンと日本の対策について少し記述すると、リネウス大学は学生が不安を見せ始めた1週間以内(3月中旬)に各学部にオンライン授業に切り替えるよう要請を出しました。当時のスウェーデンでの感染者数の内訳はストックホルム やスコーネなどの都市部に集中していたので、それを考慮すると比較的早めの判断だったように思います。一方、日本帰国後に利用した関西国際空港ではパスポートを見せて顔確認をされるだけのいつも通りの入国で、体調チェックや今後の説明などは何もなく、不安を覚えました。
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この留学を振り返って、期間短縮による影響でやり残したことは多くあり、これから経験できたであろう様々なことを考えると本当に悲しいですが、帰国までのスウェーデンで過ごした時間に後悔はありません。勉強面での学びはもちろん、生き方や考え方にも多大な影響を与えられたと思います。また、全てが新しい環境に飛び込むことで自分を相対化し、自分は今までどこにいてこれからどうしたいのかを考える機会を多く持つことができました。
この留学を可能にしてくれた、家族をはじめとする私をサポートしてくれる人たちには心から感謝の気持ちでいっぱいです。留学中でさえ、1人で頑張っているように見えて実はいろんな人に守られながら生活をしていました。しんどいことのほうが確実に多い留学生活でしたが、本当に本当に貴重な時間でした。
これで私の留学は在籍上は終わりになりますが、まだまだオンラインのクラスは続いていますし、経験したことをこれからのことにつなげていくために気持ちは途絶えさせずに前に進んでいこうと思います。