・ 留学を振り返って
あっという間に約10ヶ月が経ちました。私の留学生活はとても環境が良く、友達に恵まれ、いい経験も悪い経験もたくさんある充実した一年間でした。最後の投稿は個人的な一年間の出来事をbest3でランキングにしてみました。
1位 いい人ばかりと出会えた
2位 中国旅行
3位 勉強しやすい環境
まず3位については、生活した寮が設備的にも位置的にも快適だったことと、上海自体が留学生にとって住みやすい街だったことです。改装してあるうえに仕切りでプライベート空間のある部屋の作り、毎日のゴミ回収、週一回のベッドメイキング、何か問題あれば人が駆けつけてくれる、文句無しの寮生活でした。バスの多さ、地下鉄の便利さ、タクシーの安さ、日本料理屋の美味しさ、生活用品の安さ、お洒落な建物の多さ、便利なネットショッピング、国際都市上海の外国人に対する寛容さ、北京に比べるとダントツの空気の良さ、上海での留学は間違いありませんでした。一般的には標準語を話す区域ではありませんが、ほとんどの人が標準語を話せるので生活または勉強するうえで全く問題なかったです。
2位、夏休みの南から北上する中国の旅では、9月号に書きましたが、一ヶ月右手に地球の歩き方を持って旅行しました。とにかく無事に帰ってこれてよかったです。この夏がなかったら雲南省に恋することもありませんでした。これから先、雲南省と関わりを持ちたいとも思わなかったでしょう。
1位、中国人の友達も、留学生の友達も、ここで出会った日本人達も素敵な人ばかりでした。価値観の違いを五感で感じた授業での討論や、世界から見た日本の姿、どれだけお酒を飲んでも中国語で話さないといけない金曜の夜、日本人はみんな寿司を作れると思っていたフランス人のルームメイト、旅行中喧嘩した韓国人の友達、中国を学びたいという同じ目的の人が集まる留学生活はとても楽しく、彼女達がいなかったら今の私はいません。中国人には割り勘という概念があまりないのでなかなか慣れない食事の機会、関西弁が好きな中国人学生、たまたまカフェで出会い仲よくなった女子大生、カラオケに行ったり、寮にあそびにいったり、中国人との関わりは後半になって多くなり、気づくとあっという間に帰国で別れが惜しい人たちばかりです。最後にはっきり言えるのは、留学に行く前の中国と中国人に対する印象と、来てから感じた印象は全く違ったということです。いいか悪いかそんな簡単なものではなく、日本人は中国という国を、中国人という人たちをステレオタイプで決めつけてはいけません、というよりも簡単に理解しきれません。社会主義であるという国の性質を基盤に、日本とは異なった社会問題も多々ありますし、広すぎる土地と人口の多さが中国なのです。私たちはまだ中国という国を、人たちを、可能性を、よく知らないだけかもしれません。グローバル化の進む今、確かに日中間、また日中韓での問題はたくさんあります。何も知ろうとせずまたは誤解したまま背を向けてしまうと国際理解の国際の言葉すら存在しないでしょう。人のあるべき姿と態度は柔軟化に長けたものでないといけないと思いました。
・ 留学中にどうしてもわからなかったこと
1:MINISOという今中国で流行りの10元ショップ
2:声優が下手
3:バスや地下鉄で子供が老人と並んで優遇される対象になる
1:MINISOという10元ショップ(約200円)が上海にだけでなく中国各地に点在しています。シンプルでかつデザイン的な商品は若者を中心に大人気で、また質も悪くありません。ですが不思議なことがあります。何が謎かというと、ロゴは無印とダイソーを一緒にしたようなものであることと日本製を売りにしていてほとんどの商品が日本語表記になっているが、決して正しい日本語ではなく、日本製でないこと。日本の会社の本拠が東京某所の神社前と表記されていたり、大手日焼け止めメーカーを思わせるデザインの日焼け止めが半額以下で売られていること、時に韓国製のものが日本のものとして売られていることなどです。ネットで調べてもどの情報が正しいのか判断できず、ある日本人と中国人の二人共同で創設されたものということだが、本社は東京で、広州が拠点であるそう。また、広州を中心に中国でブームになったそうで、今では東京に2店舗進出したそうです。しかし均一ショップを売りにしているが、¥200〜という表示がありながら一番高い商品は3万近くしたりとかなりブレブレであるという現実も。私はあるブランドやある商品がどこの国であるからともめたりするのは好きではありませんが、日本製として売られているものが今はとてもよく受け入られていたとしても、もし問題が起これば、特に日本に来たことがない人に悪い印象を与えることになることが予想されます。実際、私を含め多くの日本人がこのお店でものを買うことにたとえ日本語表記が間違っていても抵抗がなく、日本では高い携帯式充電器が安く売っていたり、パックが肌に効果的であったりするのですが、謎はいろいろあるのでどこか不思議な気持ちでいつも買いものをするのです。
2:中国では日本のアニメを含め映画など吹き替えで放送されることが少なくありませんが、とにかく声優が下手すぎると中国人の間でも言われています。私も実際に見て聞いたことがありますが、例えばコナンのゲ⚪︎タくんやミ⚪︎ヒコくんの声が老けていたり、クレ⚪︎ンし⚪︎ちゃんでは抑揚がなく感情を感じられなかったりします。ハ⚪ーポッ⚪︎ーの⚪ハリーにも勇敢さと力強さを感じれなかったりもします。傾向として、女の人より男の人が上手ではないみたいで、声優を仕事にする人が少ないから人手不足であるのか実際のところはわかりませんが、またそれも面白さの一つとして機会があれば見て欲しいと思います。
ちなみに、個人的に昔からあまり中国の映画を見る機会がなく、留学へ来てからふらっと映画を観に行くことも少なくありませんが、映画の料金はネットで買うと500円から800円で日本より安く、座席の感じも日本と同じです。また、中国と聞くとカンフーのイメージがあると思いますが、他にもユーモアだったり、感動的だったり、人情あふれるいい映画がたくさんあります。中国語は地域によって外国語のように違うように聞こえたり、同じ中国人でも理解できない中国語がたくさんあるので、みんながわかるように必ず字幕がついています。映画で感じ取れる中国もたくさんあるので是非それらも見て欲しいと思います。
3:電車のなかでの席を譲る対象は一般的にお年寄り、障害者、妊婦などですが中国ではここに子供が含まれます。私からすると元気な子供こそ席を譲るべきだと親に躾けられた記憶ですが、中国でバスや電車のなかで子供が席を譲られるという場面を何度も見たことがあります。中国では儒教の教え“孝”という思想の元で子供に優しくすると将来その子供も親に対して優しくなるという考え方があるのです。このような行動は正直違和感を感じますが、儒教の考えからきていると思われます。しかし親が子供に優しくするという行動の中には、溺愛の心からきているもの、甘やかしすぎていると思わせるものもあると思います。子供が大切だからといっても子供の行動がもちろんすべて正しいわけではありません。公共の場で周りに迷惑をかけることがあれば親がしっかり言い聞かせることは常識であり、子供があれこれ食べたいと言っても健康のことを考えすべて与えないことこれも子供への愛です。自分が中国に在住する親ではないので偉そうには言えませんが、その辺の区別をつけれる親がこれから増えることに期待します。
《特別編》最後に。。。。
今や日本と中国の間には政治問題、領土問題、たくさんの問題を抱え、メディアを通して私たち市民の中に着々と国の思う通りにコントロールされてきていると思います。私も実際そうでした。中国に来るまでのイメージは中国人は日本が嫌いだとかあまりいいイメージではありませんでしたが、自分の目で見て聞いた中国は日本にいた時と全く違います。国は国で私たちは私たちなんだと身をもって感じることができました。同じ人間なのに、アジア人同士だと理解できることもたくさんあるはずなのに、お互いに嫌なところを探り、近づこうとする気持ちや交流の機会も少なくなってきた気がします。一番怖いのは何も知らない、知ろうとしない人たちが増えていくことです。内側だけばかりを見ていると外側もわかりませんし、外側から見た内側も別のものに見えるのです。中国は私たちが思ってるよりも広くて、いろんな意味で大きいです。中国とは国としてだけでなく私たちが生活する中で切っても切れない関係なのです。そんな中で周りからの情報を鵜呑みにし、確かめようともせず、さらに知ろうとする欲を無くしては、中国とのことだけではなく国際理解など不可能だと思いました。この気持ちを大切にこれからもいろんなことに対して学び、挑戦していきたいです。