①この留学を振り返って
9月から留学が始まり、あっという間に帰国する時が来ました。
そもそも、私が東フィンランド大学(以下UEF)への留学を決めた理由は2つあります。1つ目は、フィンランドは「SDGs達成度」と「世界幸福度」の2つのランキングで1位を獲得しているため、その2つの関係性について以前から興味があったから、2つ目は、大学2年時に参加した授業で、「生涯学習」「成人教育」に興味をもち、それらが推進されている国で学びたいと思ったからです。この2つについては、日々の生活や授業で実践的に学ぶことができました。
1つ目について、最も印象的だったことは、フィンランドに住んでいる人たちは、豊かな自然からウェルビーイングを高めることができることを実感しているため、当事者意識をもって日常的に持続可能な社会の実現に注力していることです。旅行で他国の都市部に出かけ、その後フィンランドに戻ると、水や空気のおいしさに感動します。SDGs達成度や幸福度においては、福祉や教育などの制度面の影響も大きいですが、留学生としてはこの豊かな自然の方が身近であり、フィンランドでしか味わえなかったことなのではないかと思います。
2つ目については、生涯学習に関する授業が開講されており、多くの成人学生が在籍しているため、UEFを選んだのですが、本当に多くの、さまざまな属性の学生と関わることができました。UEFでは、学部生、院生、成人学生が一緒に授業を受け、グループで課題に取り組みます。1つ下や同い年の学生から、上は30~40代の方、お子さんがいる方まで幅広い年齢層の人たちと交流することができます。社会人として働いているからこそ持てる視点や価値観があるため、新しい気付きが多く、意見交換をすることが楽しかったです。
日本でも、こうしてさまざまな文化的背景を持つ人やキャリアが異なる人と共に学ぶ機会が増えれば、より柔軟に物事を考えることができるようになり、必ず必要となるスキルを身に付けられると思いました。
また、家族、グローバル教育推進センターの方々、現地の友人には本当にお世話になり、この人たち無しでは、私の留学は成功と言えなかったと思います。
②留学経験をどのように活かすか
この留学を通して最も身についたと感じることは、「チーム内の多様性を認め、まとめる力」です。
正直、さまざまな価値観を持つ人と交流する中で、意見を真っ向から否定されたり、意見がすれ違ったりすることが度々ありました。それでも私は、チームで取り組む以上、全員が納得のいく結論を出すことを大切にしているので、そのたびに諦めずコミュニケーションをとり続けました。どうしても相手が発した言葉だけを受け取ってしまっていたので、その発言の意図やそもそもの文化の違いを理解するところから始めました。そうすることで、その人のアイデアの真意を理解することができ、意見のすり合わせがうまくいくようになりました。
この力は、社会に出てからも必要となると思います。私は、24年の3月に卒業、4月に企業に入社予定ですが、現在、1つの会社内だけ、また日本国内だけでビジネスが完結する企業はほとんどなく、どこかで他社や海外の企業と協働し、成り立っています。そうした社内外、国内外問わず多くの人と共に仕事をしていく中で、チーム内の多様性を認め、まとめ、調和を生み出すことは大切だと思います。当然、ビジネスだけでなく、日常的なコミュニケーションにおいても重要なことです。私にとっての「当たり前」が相手にとっては当たり前ではないことを十分理解しつつ、日本でも様々な人と交流して自分の視野を広げていきたいと思います。